4月27日の南北首脳会談と、5月に予定される米朝首脳会談で、朝鮮半島の緊張緩和と非核化への期待が世界中に高まる中、安倍政権は、この流れに水を差そうとしている。
河野太郎外相は3月31日の「講演で北は次の核実験の用意をしている」、「日本は何もやらなくてもいいのかという評論家がいるが、何もやらなくても構わない。焦る必要は全くない。(北に)足元をみられる」と述べた。
この発言は波紋を呼び、4月2日には米国のジョン・ホプキンス大北朝鮮分析サイトが「核実験に向けての動きは確認できない」と指摘。翌3日に河野外相が「核関連施設での活動が続いている」と再び強調すると、中国外務省が、緊張緩和の努力中に「足を引っ張ることのないように望む」とコメントした。
4月17?20日に訪米しトランプ大統領と会談する安倍首相は、「過去の対話」が失敗した教訓を説き、「圧力強化」を求めると報じられる。メディアも「対話の実現は圧力の成果だ」と強調する。
朝鮮の非核化が何度も失敗した最大の要因は、湾岸戦争に始まる米国のイラクへの軍事攻撃だ。とりわけブッシュ政権が02年にイラン・イラク・「北」を「悪の枢軸」とし、翌年イラクのフセイン政権を武力で崩壊させたのは、「核をもたないと米国にやられる」現実を突き付けた。プーチン露大統領は、「わが身が安全と思うまで北は草の根食べても核開発する」と指摘した。
南北両国の意向は「段階的で包括的な非核化」「北非核化への段階的な補償」などでほぼ一致している。中国の王毅外相とロシアのラブロフ外相も「段階的で包括的な解決の支持」を表明した。
4月5日には南北首脳会談に向けた実務者協議が開かれた。米朝首脳会談開催地にスウェーデン、モンゴル、スイスなどが名乗りを上げている。韓国の文在寅大統領が切り開いた平和への可能性は世界の流れで、安倍政権を追いつめるだけでなく、憲法9条への最強の援護でもある。
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