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2018.06.12
在イスラエル米大使館移転
国連決議など違反

 抗議のガザで多数の犠牲者

 トランプ米政権は5月14日、在イスラエル大使館をテルアビブからエルサレムへ正式に移転、各国首脳を招いて開設式を行った。
 これに対し、パレスチナ自治区ガザでは今年3月以来最大の4万人の抗議デモが組織され、イスラエル軍の実弾による発砲で死者60人超、負傷者数千人を出す事態となった。多くは身体上の障害を一生涯負う重傷者だ。イスラエルのネタニヤフ政権は「正当防衛」としている。
 この日は1948年のイスラエル建国と同時にパレスチナ人が歴史的故郷から軍事力で追放され、難民化させられた日、「ナクバ」(大惨事)を記憶する70周年を翌日に控えた日であった。
 パレスチナ自治政府のマンスール国連代表は15日、安保理緊急会合でイスラエルの攻撃を「戦争犯罪」と非難し、「大量虐殺が行われているときに大使館移転を祝う」米政権を批判したが、ヘイリー米国連大使は演説を聞かずに退席した。 米議会はすでに1995年にエルサレム移転を可決していたがこれまで米政権は国際法・国連決議に違反していたため23年間実施しなかった。
 イスラエルは1948年から今日までの70年間、入植地を拡大し、複数回の中東戦争を通じて占領地を拡張、ガザ地区・ヨルダン川西岸にパレスチナ人を押し込め、あるいは隣国へ追放してきた。ガザ地区(東京23区の約6割の面積)には200万人が暮らすが、イスラエルに包囲された飛び地状態、西岸地区は各地域でイスラエルの行政権と交錯し、侵食された状況にある。
 イスラエルはいくつもの国連決議を無視しつつ、併合・征服政策を続けてきたが、米国の世界戦略、とりわけ中東政策の一環として今後もとり続ける。
 トランプ政権の「イスラエル・ロビー」には大口献金者がおり、また「福音派」に依拠した集票力ももち、外交政策に影響を与えており、イスラエル・パレスチナ間の対立にとどまることなく、中東情勢を先鋭化させるだろう。一方、パレスチナ人の抵抗闘争も続く。

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