カザフスタンのアクタウでカスピ海沿岸国5カ国の首脳会議が8月12日開かれ、「カスピ海の法的地域に関する協定」が調印された。各国はその沿岸15カイリを領海、25カイリを排他的漁業水域と定め、資源開発は隣国との協議で進めるとし、第三国の洋上軍事展開を禁止した。
5カ国とはロシア・イラン・カザフスタン・アゼルバイジャンおよびトルクメニスタンであり、会議で「関係国の協力強化」が確認された。イランのロウハニ大統領は「地域の安全と安定が確立し、米NATO軍がこの地域に進出することが阻まれた」と述べた。
カスピ海はアジアと欧州をつなぐ重要な位置にあり、確認埋蔵資源は石油500億バレル、天然ガス約9兆立方メートルと算出されている。5カ国は「カスピ海経済フォーラム」を結成する予定である。
トランプ政権が5月、一方的に「イラン核合意」から離脱、「敵性国家」と見なし、各国に「イランと取引する企業は米国との取引を禁止する」方向で経済制裁を進めようとしている。しかし、これはイラン一国を超えた大きな枠組みでの戦略であり、イラン国民の経済生活を困窮化させる以上に、中国の「一帯一路」、中ロを中心としたBRICSや「上海協力機構」などユーラシア統合進展への対抗措置である。
欧州企業がイランを去っても中国企業は留まるだろうし、ともに米制裁下のロシアとイランは経済協力を進めている。世界は多極化に向かっており、米国が国際社会からいっそう孤立する流れだ。 |