10月28日、ブラジル大統領選挙の決選投票で極右のジャイル・ボルソナロ候補が55%を獲得して当選した。氏は空挺部隊出身、80年代に政界に入り、28年間に9政党を渡り歩いた。公約に「犯罪取締り強化」「銃規制緩和」「拷問の正当性」「死刑制度復活」「民営化」をあげ、「一つの道は神のそばで繁栄・自由・家族。
もう一つはベネズエラだ」と左に一歩たりとも進まないと公言、「国民を団結させ、偉大な国になる」と述べた。軍政を推進し、コンドル作戦のような「赤い勢力」弾圧の方向だ。03年から16年までルラ・ルセフ政権と続いた13年間の労働党(PT)時代に着手された貧民救済の社会保障制度は、後退を強いられる。
ブラジルは大国だ。地域最大のGNP2・1兆ドル、人口2億1千万、真水埋蔵量は世界最大だ。地理的に、ベネズエラはコロンビアおよびブラジルと長い国境線で囲まれ、マドゥーロ政権は、アマゾン地帯でこれまでの軍事的脅威より危険な状況に直面する。内陸国ボリビアは、全国境地帯を保守陣営に囲まれることになる。
国際的には、新政権はBRICSの概念からは遠ざかり、IMF/世銀体制に接近することになる。30日にはすでにサンパウロ市などの都市で抗議デモが組織されたが、次期大統領は「土地なし労働者運動」などはテロ組織と見て対話しない方針だ。
蓄積された「新自由主義反対!」の諸国民の闘争は新たな困難の克服を求められている。来年1月1日、ボルソナロ氏は大統領に就任する。 |