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  4. 2019.05.07

トランプ政権の『最強度の経済戦争』
誰が勝つか

 4月17日、マイアミでトランプ大統領はキューバに対して最強度の経済制裁を課すと公言した。この日は58年前の1961年、米軍機によるプラヤ・ヒロン事件=ピッグス湾侵攻事件の始まった日である。空爆を行った際に米国籍を隠すために偽装さえしたが、72時間後には上陸した米傭兵軍は敗退、捕虜となった。ケネディ政権(当時)退場の始まりであった。

 トランプ大統領によれば、新たな制裁はケネディ政権以来もっとも厳しいものであり、ボルトン安全保障担当大統領補佐官は、「オバマ時代の破滅的政策をひっくり返し、社会主義を最終的に終わらせるものだ」という。キューバ政府により接収された資産によって利益を得たいっさいの企業を、米法廷に訴追することができるという制裁の実施である。

 すなわち米国へ逃亡した以前のニッケル鉱山主がカナダのシェリット・インターナショナル社や、以前のホテル所有者がスペインのメリア社を損害賠償で訴追できるという内容である。しかし、利益を得るのは少数のいわゆる「亡命キューバ人」でしかない。来年に迫った米大統領選挙を意識した決定とも取れるが、同時に国交正常化の阻止・渡航制限で大多数のキューバ系米人にとって得るものはない。

 一方のキューバ政府は、エスカレートする攻撃に「キューバ革命は正面から立ち向かい、勝利すると改めて強い決意を表明する」と声明を出し、「キューバは自国の力と尊厳を信頼し、リンカーンの祖国の国民をも信じ続ける」と宣言した。
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