安倍晋三首相が6月12?14日、イランを訪問、ロウハニ大統領と会談、さらに日本の首相としてはじめて最高指導者ハメネイ師と会談した。両国国交樹立90周年を記念する訪問であり、現職の首相としては41年ぶりであったが、13日、ペルシャ湾で日本の国華産業が運航するタンカー「コクカ・カレイジャス」など2隻が攻撃され、炎上した。
ポンペオ米国務長官は事件直後に「責任はイランにある」と表明、一方、ザリフ・イラン外相は「事実や状況に基づく証拠はない」と反論した。安倍首相は米大統領からのメッセージを伝えるという役割を持っていたが、ハメネイ師は「メッセージを交換するに値しない人物」と応じ、さらに米国による「体制転換は決して成功しない」と述べた。
安倍首相がテヘランに到着した12日、米財務省は武器密売関与を理由に新たなイラン制裁措置を講じ、関連企業の米国内の資産を凍結した。一方、岩屋毅防衛相は14日、「タンカーに日本人乗組員は乗っていない」として、シャナハン米国防長官代行の1千人兵員増派の決定以後も、自衛隊は西アジアとホルムズ海峡に派遣しない、集団的自衛権は発動しないと表明、情報収集を強調した。日本は原油輸入の9割近くを中東に依存しており、タンカーの安全確保は必須である。米・イランの軍事的緊張が高まっているなかでの日米関係の摩擦が見え隠れしている。
こうした情勢下でシャナハン米国防長官代行が長官指名を辞退、後任にエスパー陸軍長官が任命された。 |