安倍内閣が8月2日に韓国を「ホワイト国」から除外する政令を閣議決定した(1面に記事)ことに韓国政府は猛反発しているが、7月初めの「輸出規制」に対して識者らが「韓国は『敵』なのか」として即時撤回を求める声明を発表した。
「声明」は7月25日現在77名が呼びかけ、世話人に弁護士・内田雅敏、元『世界』編集長・岡本厚、東大名誉教授・和田春樹の各氏らが名前を連ね、半導体製造に関わる輸出規制は、「敵対的な行為」と指摘、次の3項目(骨子)の見解を示す。
1、韓国は「敵」なのか
特別な歴史的過去をもつ日本と韓国の場合、特別慎重な配慮が必要。今回の措置は両国関係がこじれるだけで、日本にとって得るものは全くない。
2、日韓は未来志向のパートナー
1998年、金大中韓国大統領が来日して国会で演説し、日本国民には過去を直視し、歴史をおそれる勇気を、韓国国民には、戦後大きく変わった日本の姿を評価し、ともに未来に向けて歩もうと呼びかけた。日本の多くの人々も、金氏が軍事政権の弾圧の中で信念を守り、民主主義のために戦ったことを知っており、この相互の敬意が、小渕恵三首相と金大統領の「日韓パートナーシップ宣言」の基礎となった。
3、日韓条約、請求権協定で問題は解決していない
元徴用工問題について、安倍政権は1965年の「日韓基本条約」と「日韓請求権協定」違反していると繰り返す。条約第2条は、1910年の韓国併合条約の無効を宣言するが、韓国と日本では解釈が対立する。韓国側は、併合条約は本来無効であり、日本の植民地支配は韓国民に強制されたとする。日本側は、合意による併合で、反省も、謝罪も行わないとする。
元徴用工たちの訴訟は民事訴訟であり、被告の日本企業が判決にどう対応するかが問われるのに、日本政府が飛び出したことで、事態を混乱させた。
日韓基本条約・日韓請求権協定は両国関係の基礎として尊重されるべきだが、安倍政権が繰り返す「解決済み」では決してない。日本政府自身、個人による補償請求の権利を否定していない。
現在、仲裁委員会の設置を巡って「対立」しているが、日韓請求権協定第3条の仲裁委員会による解決に最初に着目したのは、2011年8月の「慰安婦問題」に関する韓国憲法裁判所の決定。その時、日本側は仲裁委員会の設置に応じていない。解決への誠実な対応が求められる。
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