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  4. 2020.10.20

人種差別に抗した運動を
 
米を席巻するBLM運動
    呼びかけに応えよう


 『Black Lives Matter』、日本でも知られるようになったこの言葉を、みなさんはどのように受け止めているだろうか。

 この言葉が生まれたきっかけは米国で12年2月にトレイボン・マーティンさんという黒人の高校生が夜、自警団の男性に不審者と見なされて射殺された事件だ。マーティンさんは当時、銃などは持っていなかったのだが、自警団の男性は正当防衛が認められ無罪になった。それを知った黒人女性がSNSに"Black people. I love you.I Love us.Our lives matter,Black Lives Matter"と投稿したのが始まり。

 その後も白人警官による取り締まりで黒人の命が奪われるケースが相次ぎ、いずれのケースでも警察官は起訴されず、そのたびに抗議の声が上がり、「Black Lives Matter」(以下BLM)ということばが、SNSにより広がっていった。そして今年ジョージ・フロイドさん殺害事件を受け始まった米国でのBLM抗議行動には推定1500万人から2600万人が参加し、BLMは米国史上最大級の運動となった。

立ち上がったアスリート

 テニスプレーヤーの大坂なおみさんもBLM運動に立ち上がった一人だ。9月のテニス全米オープンの試合で毎試合ごとにアメリカで警察の人種差別的な暴力の被害に遭った黒人犠牲者たちの名前が入ったマスクをして、全世界に人種差別を無くそうと訴えた。

 彼女にとって今年5月に起こったジョージ・フロイドさんの事件は行動を促された出来事だったという。

 彼女は事件後すぐに現場のミネアポリスに飛び請願書に署名し、寄付し、抗議したのだ。彼女は『これこそが人として正しいことだ』と後に語っている。彼女は子どもたちのためにより良い場所にするために、自分には何ができるのかとパンデミックの間に自身に問い続けた。

 そして、彼女は一つの答えとして全米オープンでのマスク行動に出たのだ。

 彼女には世界中に多くのスポンサー企業やファンがいる。彼女にとって抗議行動は、もしかすると今まで築き上げてきたものが崩れるかもしれない恐怖があったに違いない。自分は黒人としてどう振る舞うべきか。迷い、悩み、決断したのではないか。

 支援と同時に「黒人ならば日本人ではない」「スポーツに政治を持ち込むな」など多くの批判も受けた。22歳の女性に、この行動はとても勇気が必要なことは容易に想像がつく。しかし彼女は立ち上がった。

 彼女の勇気と覚悟ある行動は多くの人に希望を与え、人々に考えさせた。日本にも多くの差別が存在していて、今でも苦しんでいる人たちがいる。彼女は差別を無くすために、多くの人に発言して、動いてほしいと切実に願っている。

 自分のため、苦しんでいる人のため、未来の子どもたちのため、私たちは彼女の発信を受け止め、抗議の声をあげて、自らの社会の差別と排他的な自身を見つめなおしてみる必要がある。
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