本書は、鎌田さんが東京新聞に週1回連載中の「本音のコラム」の2015年4月?2018年5月までの3年分を書籍化したものである。
この間、安倍政権は15年9月19日の「安全保障関連法( 戦争法)」、17年6月15日の「共謀罪法」などを強行採決した。
また、16年12月からの「自衛隊の日報隠蔽」問題、17年2月からの「森友・加計疑惑の隠蔽」問題、沖縄の翁長知事の辺野古埋め立て承認の取消しを無視しての新基地建設の強行など、自分に都合の悪いことには徹底的に頬かむりをし、「一億総活躍社会」「働き方改革」「人生100年時代」「全世代型社会保障」などと口当たりのいい言葉と、目くらまし戦術で国民を愚弄している。
これに対して、鎌田氏は安倍晋三政権下で進む政財官のさまざまな非道に鋭い怒りの言葉を投げつけ、その暴挙を記録している。権力に抗し続けてきた著者の面目躍如である。
ところが、鎌田氏の活動分野は言葉での批判にとどまらない。本書を読んでいると、毎週のように全国各地に出かけており、行動の人であることが分かる。
鎌田氏は「さよなら原発実行委員会」の呼びかけ人であるが、再稼働の原発の現地に出かけ抗議行動に参加したり、核燃料サイクルの中止を呼びかけている。
筆者が強く印象に残ったのは、二つの事件である。一つは「原発に怒る人びと」で、伊方原発建設のために、四国電力の社員が土地売買のハンコをだまして元村長の妻につかせ、その妻は自殺したと言う記事である。
もう一つは「F事件」で、Fさんはハンセン病療養所に強制収容されていたが、「警察は疑いをかけたFさんを追い詰め、拳銃で狙撃し、撃ち倒してから逮捕したのは、病気を恐れ、取っ組み合いをしたくなかったからだ。証拠もなかった」しかし、「特別法廷」で、無実なのに死刑にされたという記事である。
著書の前書きの「人を愚弄し、ウソを常套手段とする、アベ政治をこのまま放置すれば、日本は将来また戦争の悲劇に向かって吶喊(とっかん)する」の警鐘を受け止め、私たちも奮闘しよう。
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