1. トップ
  2. 週刊新社会
  3. 環境
  4. 2018.11.06
2018.11.06
九州電力が太陽光の出力制御を強行
電力が過多ならば止めるべきは原発
 
 九州電力は、世界のすう勢に逆行することをやってのけた。 10月13、14、20、21日、太陽光発電の一部事業者に発電を一時的に停止するよう指示する出力制御を強行した。今後も、電力需要が下がる春や秋の休日などに出力制御を多用する危険がある。自然エネルギー拡大に冷水を浴びせるものだ。

 九電や政府は「自然エネルギーの発電量が増え過ぎて電力需給バランスが崩れ、大規模停電となるのを予防するため」と、先の北海道大地震時に発生した全域停電(ブラックアウト)のような事態を防ぐための止むを得ない処置かのように宣伝するが、これほど人々を愚弄した話もない。 

「全域停電」の原因 
 北電は、震源に近い苫東厚真火力(耐震基準は震度5相当で設計)に発電のほぼ半分を依存していたために、ここの停止が周波数を乱し全道的に発電所が停止した。もし北電が風力発電を拒まずに促進し、地熱やバイオマスや太陽光など自然エネルギー発電を多く受け入れていたら、全道的で深刻な長期停電はなかったはずだ。

九電は原発を優先 
 九電は川内原発と玄海原発の4基を稼働させている。このフル稼働を最優先させ、次に同じく自社の所有する火力等を優先する。そのためには電力需要の比較的少ない時期で、太陽光など自然エネルギーの発電が多い時は買取りを拒みたい。

 しかし、逆だ。原発は全面即時停止して、自然エネ発電を全量買い取り、不足分は火力で補い、余剰が生じたら揚水式水力の貯水に使うべきだ。現状では4基の原発を優先稼働させ、その余剰分を揚水式に使っている。

太陽光にブレーキ

 経産省は北海道の教訓を生かすどころか、9月12日には家庭や事業者が発電した電力を大手電力会社(電力独占資本)が買い取る価格に関して、数年で現行の半分程度にする方針を明らかにした。太陽光の電力は大手電力会社が安く買えるよう、原則全てを入札対象にする案も示した。

 太陽光発電にブレーキがかかる。目先の利潤のために、独占資本とその政権はあくまでも原発の再稼働と建て替えを優先する。

風力の本格拡充を
 太陽光発電は九州、四国等では威力を発揮するが、北に行くほど効率は下がる。日本は洋上を含めて、風力資源に恵まれているが、これがさっぱり活かされようとしていない。

 主力送電線は原発を再稼働させるために、大容量が空けられている。山岳や丘陵地帯を走る高圧送電線に沿って風力発電を造り連系するだけでも、大きな出力となる。洋上に造れば全需要量を賄うこともできる。深い海であれば、浮かべる方式をとればよい。

 Jパワー(電源開発)と関電は、英国北海沖の洋上風力発電事業に参加する。日本でこそ洋上風力発電を建設し、原発は速やかに全面廃止すべきだ。Jパワーは大間原発の建設などをきっぱりやめ、率先して列島全体に送配電網を設置することが必要である。

 ↑上にもどる
一覧へ
トップへ