2019.03.05
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“放射線管理区域”に無理やり帰還させる |
汚染水と汚染土
高濃度汚染水は総量ですでに110万㌧となった。東電は多核種除去装置(ALPS)で浄化すれば、水との分離が難しいトリチウム以外のセシウムやストロンチウムなど大方の放射性物質は除去できると説明してきた。
筆者は、それらが十分に除去できていない汚染水もあるはずだと指摘してきた(本紙昨年9月18日号参照)。
10月になって東電は、タンク保管する汚染水の8割は浄化が不十分で、トリチウム以外の放射性物質が法令基準を超えて残留していたとする調査結果を報告した。東電や国や原子力規制委員会(という名の原子力推進委員会)は、改めて処理してから海洋投棄すればよいとする。
しかし、福島県漁連だけでなく、年末には全漁連も海洋放出に反対を表明した。
東電は20年までに137万㌧のタンクを確保する計画だが、それもあと5年でいっぱいになる。汚染水の増加を止めるには、凍土壁などでごまかしていないで、当初から述べてきたように建屋の地下を遮蔽して地下水の流入をなくすことだ。
環境省などは、除染で発生した大量の「除染土」をキログラム当たり8000ベクレル以下の物は公共事業の盛り土などに使わせる方針を出した。せっかく集めた放射性廃棄物を、各地の環境中に散させることになる。 発生者責任を明確にし、汚染水(セメント固化の要否は別として)はもとより、除染土(県外分も)等も、広い第二、第一原発の敷地内に保管すべきだ。
「緊急事態宣言」
独占資本と安倍政権は避難者を無理やり帰還させ、安全に生活できるように見せかけて、住宅等々の補償を打ち切るために、年間被曝線量を通常の1mSv(ミリシーベルト)以下にせずに、20mSv以下としたままだ。子どもも妊婦も「放射線管理区域」並みの地域に住めという。
そのため緊急事態宣言を長らく解除するわけにはいかない。汚染の主役で半減期30年のセシウム137が4分の1に減衰するには60年、10分の1は100年を要し、20分の1になって、年間被曝線量が20mSvから1mSvまで下がるには130年も要する。福島県民にとって、子々孫々まで続く問題である。
独占資本家も、安倍首相も、経産省幹部も、裁判官も決して住むことのない所で、庶民は家庭も生活も生業も壊され、健康も命も奪われる。家族離散で認知症も進み、うつや引きこもりも増える。広大な山野部は除染もできぬまま、山菜を採る楽しみすら奪われている。 |
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