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  4. 2019.08.20
日本の種子を守る会が総会 「種子法」改悪に反対
『種子条例』広がる
 戦後の日本の食料供給を支えてきた種子法が、グローバル種子企業の利益のために廃止(昨年4月)されてから1年余、日本の農業政策は世界の流れに逆行し続けている。これに抗して市民や生産者が声を上げ、自治体が意見書を国に提出し、種子法に代わる種子条例を制定する道府県が増えている。

 これまで11道府県で種子条令が制定され、新たに宮城県が6月に条例案を示して意見を募集している。まさに地方から草の根で日本の種子(たね)を守る動きが拡がっている。 

 そうした中、「日本の種子(たね)を守る会」(八木岡努会長)は7月6日、東京・東池袋で第3回総会を開き、①安全な食と持続可能な農の権利を守り、誰でも自由に栽培できる種子を入手可能とし、その育成権を守るために公的種子制度を維持強化していく、②生態系を守り、自然の力を活かした有機栽培の普及拡大に努め、小農をはじめとした地域の多様な農業を守り、育成していく、③地域の伝統野菜などを守り、気候風土に育まれた歴史的食文化を発展させていく。地域で生産者と消費者が連携して安全で美味しい食べ物を協同して守っていく。学校給食の無償化と地域自給と有機栽培活用を促進する、などの19年度活動方針を決めた。

 現在行っている「主要農作物種子法に代わる公共品種を守る新しい法律をつくることを求める署名」運動については継続するが、今年3月末までに18万2000筆を集約している。このうち17万筆を野党議員を通じて国会に提出した。

 また、ゲノム編集の事実上の解禁反対や、種子法廃止に続いて政府が強行しようとしている「種苗法」の改定によって、農家が自分で種を取って栽培する「自家採取」も原則禁止とされることを阻止するための署名も合わせて行うことを検討している。* 種子法廃止の経過と今後の課題 戦後の日本の食と農を支えてきた「主要農作物種子法(種子法)」は2018年4月1日に廃止された。種子法の下でコメや麦、大豆などの主要農作物の種子の維持・開発のための施策が実施され、農家には安くて優良な種子が、消費者には美味しいコメなどが安定的に供給されてきた。

 しかし、規制改革推進会議は、種子法が民間企業の種子事業への投資を阻害するとして廃止を打ち出し、17年2月に閣議決定、満足な審議もなく4月に廃止法が成立した。種子法廃止でコメなどの種子価格の高騰、地域条件等に適合した品種の維持・開発などの衰退が懸念される。

 また、長期的には世界の種子市場を独占する遺伝子組み換え企業が日本の種子市場を支配していくことも懸念されている。それは日本の食の安全、食料主権が脅かされることであり、消費者にとっても大きな問題だ。