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原子炉など解体せず そのまま“墓標”に |
東京電力ホールディングス(HD)は7月31日、福島第二原発(福島県楢葉町、敷地の一部は富岡町)の全4基の廃炉を正式に決定した。福島県が求めていた県内の全原発10基の廃炉へ、第一原発事故から8年5カ月を経てようやく動き出すことになった。完了までには40年超を見込むというが、問題は山積だ。
東電は、福島第二原発4基の廃炉を今さらながらようやく決定した。東電によると、この廃炉関連費用は総額で4千億円超に上るとする。全4基の廃炉には40年超の期間がかかる見通しという。これには2つの大きな問題がある。
廃炉計画の実態は
まず原子炉本体や格納容器や建屋を解体・分解する必要があるのかという問題である。核燃料を別扱いするのは当然として、それを取り出した後の原子炉等を解体する必要性は乏しい。予想より増えて建設費に近いほどの高い費用をかけて解体しても、安全に再利用できるものはさほどない。
日立や東芝や三菱などの独占資本にとっては、建設時に近い儲け仕事になるかもしれないが、庶民には負担が増すばかりである。
東電によれば廃炉で出ると見積もられる放射性廃棄物は「5万トン超」とされる。その中でも汚染の程度が低いものは再利用するとされるが、大半は再利用できず、埋設などの処分が必要なものとなる。むしろ放射能を含んでしまった鋼鉄等々を外に分散させる危険性の方が問題となる。
従って、これらは解体することなく、そのまま墓標にするべきであろう。
使用済み核燃料は
もっと重大なのは4基の使用済み核燃料プールに保管する「1万76体」の核燃料をどうするかだ。小早川智明社長は核燃料を金属容器に入れて空冷する「乾式貯蔵」施設を造り、「廃炉完了までに県外にすべて搬出する」と内堀雅雄福島県知事に説明した。いずれすべて県外に搬出するなどといっても、受け入れそうなところはどこにもない。
高速増殖炉「もんじゅ」はとっくに破綻し、廃炉とされている。そのため使用済み核燃料からプルトニウムを抽出する再処理の意味はすっかり消えうせている。青森県六ヶ所村に造った再処理工場は幸か不幸か随所に問題を抱えていて、遅れに遅れ稼働もできない。すでに14兆円を浪費した。
地震、火山、地下水を見るだけでも、日本には使用済み核燃料(高レベル放射性廃棄物)を10万年以上にわたって安全に地下埋設処分できるところなど、どこにもない。青森県に持ち出すことはできないとなると、原発敷地内で永久的に管理保管するしかない。プールから引き揚げて、金属容器に納め空冷の「乾式貯蔵」に移行するとして、そのままで何万年も放置することはできない。屋内の条件をどのようにしても、燃料被覆管も金属容器も腐蝕が進行するからである。
いずれ金属容器はより大きな新しい金属容器に納めねばならなくなるであろう。大事故の起きなかった原発でも、このような問題を抱えている。
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