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  4. 2019.09.10
福島第二原発の廃炉決まったが《下》
廃炉費用の調達のために
        柏崎刈羽の再稼働目論む
第一原発の事故処理
 メルトダウンを起こした第一原発の後処理は、はるかに難題だ。格納容器にも建屋にも地下にも放射能は高レベルに拡散している。デブリは金属やコンクリートなどと溶け合って固化している。遠隔操作によるロボットで全部切り出すことなど、多大な被曝と外部への拡散なくしては不可能だ。地下水侵入を遮蔽し、このまま閉じ込めて管理する方がはるかにベターである。

 第一原発の事故は、敷地内のタンクに100万トンを超える高濃度汚染水を生み出し、敷地周りの「中間貯蔵施設」には除染で発生した膨大な量の汚染土が搬入されている。

 しかし、これが30年以内に県外に搬出される「中間貯蔵」になると信じる福島県民はいない。汚染土の放射能レベルが多少減っても、再利用を受け入れる県民もいない。国と東電は最終的な保管場所を造る以外にない。

 年間20ミリシーベルト(通常の20倍)の被曝が許容されるとして避難した人々を無理やり帰還させ、補償を打ち切るなどは許されることではない。

 いかに除染されたとしても、原発敷地にメルトダウンした核燃料や使用済み核燃料や汚染水を抱え、周辺には汚染土を保管する場所に近い地域に一般人を居住させるなど論外。専門に管理する職員も、居住地は十分な距離をとるべきだ。

 避難者がどこに住むかは本人の意思を尊重し、住居や仕事などは長期的に国と東電が保障するべきである。 

劣化深刻な柏崎刈羽
 目先の利潤追求に忙しい東電は、柏崎刈羽原発の再稼働を目論むが、未曾有の大事故を起こした東電に稼働させる資格があるだろうか。福島第一の廃炉費用8兆円、被災者賠償に8兆円、除染等に6兆円、第二の廃炉費用に4千億円と試算される。東電はこの費用を柏崎刈羽の再稼働で確保したいとする。この再稼働のための安全対策費は、東電の試算で約1兆1700億円となる。従来の約6800億円から2倍近い。テロ対策施設(特定重大事故等対処施設)など、新規制基準への対応費用が大きく増えたことによる。

 もっと重大な問題がある。柏崎刈羽原発は何度も大地震を受けている。このため、重要な配管や機器、原子炉と配管の接合部や配管の曲部などに脆化が生まれている。何万箇所もある重要な配管の溶接部の周辺には、劣化が進行している。

 稼働させたら、次の一撃で大事故の確率は高くなっている。この大型炉で冷却材喪失事故が生じかねない。そのような悲劇を起こすことは断じて許されない。福島第二に続き、柏崎刈羽原発もすべてを廃炉にするしかない。