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全国農業問題連絡会 第17回総会・視察交流会の報告 |
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家族農業の育成と農家の所得補償 |
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全国農業問題連絡会(岩中伸司会長)は11月16~17日、丹波篠山市(兵庫県)で第17回総会と「耕しや」視察交流会を行った。1道7県から48名が参加しました。
総会は、議長に鍋島浩一さん(兵庫農問懇話会)を選出、主催者を代表して岩中伸司全国農問連会長が挨拶、そして中井常男さん(地元兵庫県農業問題懇話会会長)、上野建一新社会党顧問から挨拶をいただきました。
続いて、竹谷公男事務局長から農問連の活動経過や「来年の交流会を広島でおこなうこと」等の議案が提案され活発な討論になりました。
「我々(新社会党)の農業政策作りを急ぐべきだ」(兵庫農問懇)、「実態討論を積み上げ実情に合った政策を」(熊本)、「方針を具体化してほしい。例えば総会を福島でひらくとか」(千葉農業に親しむ会)、「集落営農を進めたいが、仲間がいない」(奈良)、「退職者で気の合う連中と集落営農をやっている」(兵庫農問懇・姫路)、「同級生に呼び掛けて農業始めた」(香川・亀水ファーム)、「市議会で種子法の条例制定で動いている」(食・農ネット徳島)、「鳥獣被害は、2戸以上でないと補助金がないので困っている」(鳥取・梨農家)等々。議案は満場一致で承認されました。
記念講演では今年の交流の目的である「家族農業をまなぶ」というテーマで、阪東進さん(兵庫農問懇理事、“耕しや”代表、以下阪東さんという)に講演をお願いしました。阪東さんの目指す農業は、「家族で2~3ha(2~3町)耕し、生活できる農業、ヨーロッパ型の家族農業」ということでした。
阪東さんは1974年脱サラし就農(1・2ha)、2008年から息子さんと一緒に「2人で10町、小さくとも強い農業」を目標に米、黒豆、黒豆枝豆、野菜など8・4haと黒豆味噌1・5tを生産、販売しています。
阪東さんが家族農業を目指す理由は、①想定外の自然災害を多発させている地球規模の温暖化、②離農者を激増させている規模拡大農政、③食の安全、安心を無視した巨大企業の農業支配、④国連での小農・家族農業権利宣言の採択(2018年、日本棄権)ということでした。
そして家族農業の可能性について阪東さんは、「家族農業の育成も農業の所得補償(スイス100%、仏95%、英90%、独70%、米70%)もいまや世界の趨勢で日本にもできないことはない。農家1戸当たり年間約200万円の所得補償は防衛費の半分の2~3兆円でしかない。それで自給率の向上や食の安全、環境が守られるなら安いものだ。
翌17日、坂東さんの経営する“耕しや”を視察。
「こんなきれいな農家は見たことない」(牛尾武博さん)と参加者がびっくりするほど、整然と、しかも衛生的に整理、調整されたカントリーエレベーターや農業機械の倉庫、冷凍車を利用したコメの保冷庫、味噌加工場など家族経営のモデルを見ているようでした。
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