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生命より優先する政府の原発政策
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再稼働に懸命な政府
経団連(会長=中西宏明日立会長)も安倍政権も、成長戦略の柱とした原発輸出がすっかり破綻すると、国内の原発の建て替えを目指す。
先ずは電力資本のためにも再稼働に懸命である。国の内外で脱原発の声が高まっているにもかかわらず、経産省や原子力規制委員会は再稼働を促す。原発マネーはこれらの幹部にも流れる。
規制委員会は東北電力女川原発2号機(宮城県女川町、石巻市)の再稼働に必要な安全対策をまとめた審査書案を了承した。東日本大震災の被災原発としては、日本原子力発電の東海第二原発(茨城県)に続き二基目である。(東海第二原発に関しては、本紙19年12月10日号の「道しるべ」を参照されたい)
大震災後、規制委が新規制基準に「適合」とする原発はこれで9原発16基となる。このうち5原発9基が再稼働しているが、東北の被災地にある女川原発は特別である。
東京新聞(19年11月28日)が報ずるように、女川町内では600人以上が震災で犠牲になり、いまだ250人以上が行方不明のままだ。
被災原発だった女川
女川原発は東電福島第一、二原発と同様に被災した原発だ。女川原発は震災の震源に最も近く、約13mの津波による浸水被害もあった。地盤は1m沈下した。2号機の原子炉建屋では、1000カ所以上でひびが見つかった。3基が自動停止した。2号機の原子炉建屋地下が浸水した。外部電源は5回線のうち4回線が遮断され、残る1回線でかろうじて冷温停止に持ち込んだ。すんでの所で福島第一と同じ運命になるところだった。
東北電力は、想定する最大の地震の揺れ(基準地震動)を震災前の580ガルから1000ガルに引き上げ、約3400億円を投じて、防潮堤のかさ上げに伴う地盤改良工事や、浸水防止壁の設置などに取り組んできた。しかし東日本大震災の最大の揺れの強さは2933ガル(宮城県栗原市)だった。
規制委は実際は推進委
規制委は、肝腎の避難計画の妥当性を審査しない。このことに多くの住民が強い不安を抱くのは当然である。女川原発の敷地の一部がかかる石巻市などが策定した避難計画では、14万5000人が自動車やバスに分乗し、仙台市などへ移動することになっている。
19年11月、石巻市民らが「渋滞が起きれば逃げられない。広域避難計画に実効性がない」として、市と県による「地元同意」の差し止めを求める仮処分を仙台地裁に申し立てている。
我々はこのような原発の再稼働は言語道断だと考える。規制委は実際には推進委であること、自民党政権や経産省などと同様に、独占資本の目先の利潤を人々の命の上に置く国家機関であることがいよいよ明らかになっている。
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