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  4. 2020.05.05
貧困と失業の拡大は許さない
コロナ感染症 急がれる生活保障と雇用対策 

 安倍首相が新型コロナウイルス対策として、2月27日に「3月2日からの臨時休校」を要請してから2カ月、4月7日の「緊急事態宣言」から1カ月が経過した。この間、営業自粛、子どもの休校、内外の観光客の減少などで、減収、失業で生活に困窮する国民が急速に増大している。

 政府は世帯30万円支給を、1人10万円支給に方向転換したが、いつ支給されるかは確定していない。今すぐに経済的な支援を必要とする人は多い。4月16日に開催された「新型コロナ災害緊急アクション」(本紙4月28日号1面に掲載)での報告をベースに、現状と課題をレポートする。

 生活保障
手持ち現金が減り、生活困窮の時は生活保護の申請を! 
 新型コロナウイルスの蔓延で、生活困窮者が激増している。最後の手段は生活保護制度である。厚労省は4月7日、「新型コロナウイルス感染防止等のための生活保護業務等における対応について」という事務連絡を福祉事務所に発した。申請相談は、「要否判定に直接必要な情報のみ聴取すること」「面接時間が長時間にならないよう工夫を」としている。

 訪問調査活動も、「訪問は緊急対応等最低限度必要なもののみ実施」「訪問の際の調査の内容は実地に確認等が必要な事項に限定」とした。生活保護で「水際作戦」に利用されていた扶養調査、稼働能力の活用についても弾力的対応を求めている。保有制限が厳しかった自家用車の保有も緩和している。申請してから保護決定(保護費支給)までは、原則14日以内になっているが、守られない(30日以内)場合もあった。今回は迅速性を重視している。この事務連絡は、そういう意味では評価できる内容である。

 しかし、まだ課題も多い。本当に困っている人に制度が周知されているかである。自治体の広報活動は弱い。今回の弾力的運用の事務連絡を含めて、困っている人に情報が届くようにすることが求められる。そのことが、生活苦による自殺予防になる。

 さらに、手持ち現金の制約がある。日本の生活保護は資産要件が著しく厳しい。手持ち現金が、1カ月の保護基準の半分以下にならないと該当しない。破産法では3カ月程度の生活費の保有が認められているのにである。

 また、ネットカフェの休業による難民の発生、従来から貧弱なホームレスへの対応もある。神奈川県では武道館に収容し、食事の提供もされていないなどと批判されている。生活保護を適用し、個室の住居が保障されないと、感染防止はできない。 

 生活保護は、外国人には原則適用されない。それ自体も問題であるが、とりあえず緊急避難的に適用されるべきである。

 生活保護に該当しない場合には、社会福祉協議会が貸付を行う「生活福祉資金」がある。既に多くの住民が相談に行っている。生活保護費は返還を要しないが、生活福祉資金は返済しなければならない。しかし、当座を凌ぐためには利用を促すことが求められる。

 雇用と労働
困っている全ての労働者に休業補償を!
 多くの労働者が、休業に伴う収入の減少や失業のリスクに晒されている。まずは、政府は解雇・雇止めを少なくとも一定期間規制するべきである。

 政府は現在、雇用調整助成金の基準の引き上げ、小学校休業等対応助成金の創設で対応している。しかし、これらは雇用保険に加入している事業者が対象で、助成金は事業者に支払われ、個々の労働者に支払われるわけではない。雇用調整助成金の上限は、1日8330円である。日額賃金がこれを超えると企業には財政負担が生じる。この負担を忌避して助成金を申請しない企業もある。労働者から休業補償を直接請求できる仕組みも必要である。

 事実上の労働者であるフリーランスや小規模事業者には適用されない。雇用保険が適用されない労働者への休業補償の拡充が早急に求められる。

 外国人労働者に対しては、情報発信の多言語化を行う必要がある。勤務期間が6カ月に満たない場合でも失業給付の拡張を行い、生活保障の拡充が求められる。