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  4. 2020.10.13
国の責任を認める
原発事故訴訟仙台高裁が初 賠償額も倍増     

 福島第一原発事故で被災した福島、宮城、茨城、栃木4県の被害者約3650人が国と東電に求めた損害賠償訴訟で仙台高裁は9月30日、国の責任を認め、一審より賠償対象を広げ、3550人の原告に合計10億1千万円の賠償を命じた。

 
 一審に続き二審の仙台高裁も国の責任を断罪
被害者へ前進をみせた=9月30日、仙台高裁前
国の責任を認めた初の高裁判決で、一審で分かれた国の責任について影響は大きいとみられる。

 判決は地裁に比べて事故時に住んでいた地域を拡大、賠償額も5億円から倍増させた。中でも一審では国の賠償額を東電の半額としたが、同等に引き上げたことが注目される。空間線量を元に戻す原状回復は退けたものの、ふるさと喪失や平穏生活権を再び認めた。

 また、国を東電に次ぐ責任とした一審判決を、東電と同等と見直した。国は津波の襲来を予見でき、その対策を講じていれば事故は防げたと指摘、それを怠り、規制責任を果たさなかったと断じた。

 原子力損害賠償紛争等審査会が決めた賠償基準対象地域は不十分として拡大したことも合わせて画期的な判決で、原告が苦悩と不安の末に提訴して7年半の闘いが実った。

 だが、国と東電は上告するとみられ、原発推進を止めていない。東電の柏崎刈羽原発6、7号機(新潟県柏崎市)の再稼働に向けた審査で、規制委員会は東電の保安規定を了承し、適格性を認めている。東電は対策工事を22年中に完了し、地元同意を得ようと再稼働準備を進めている。

 これに対し新潟県内では、当該自治体を含む原発30キロ圏内自治体の同意を求める茨城方式に拡大するよう超党派の43人からなる自治体議員の研究会が8月に発足している。

 同会は来年5月末までに協定案の作成を目指し、住民の意向調査や住民説明会も実施する方針だ