任期満了に伴う東京都知事選は7月5日投開票の結果、現職の小池百合子氏(67歳)が366万1371票で再選。立憲野党が応援した宇都宮健児氏(73歳)は84万4151票で次点だった。小池氏は自公と連合東京が支援し、野党支持層にも食い込んだ。
過去最多の22人が立候補し、投票率は55.00%で前回59.73% を4.73ポイント下回った。
選挙は、最終盤で新型コロナ感染者が急拡大する中での闘いだった。宇都宮陣営は感染防止のため街頭演説の会場を一切公表せず、最終日の「打上げ集会」も急きょ前日に中止した。地域集会も開けず、手足を縛られたなかでの選挙戦だった。
小池氏は現職としてコロナ対策などで連日メディアに登場する一方で選挙運動はせず、公開討論は拒否した。そのため「公平」を建前とするメディアで、候補者同士の討論は実現しなかった。
選挙中の感染者急増は、原因を「夜の街」に押し付けて、「自粛から自衛への転換」を公言する小池知事への疑問を広げた。宇都宮氏は命を大事にする都政を掲げ、コロナ禍で露呈した医療や福祉行政の破綻の改善を具体的に訴えた。
宇都宮陣営は、23区と多摩地域に市民と野党(立憲・共産・社民・新社会・みどり)の共同選対を結成、党派を超えて自治体議員を軸に一体で闘った。4カ所の都議補選でも知事選との共同ができた。新社会党は各地域で献身的に共同を支えた。
また、小池都政の新自由主義的な「自衛」路線・民営化路線への批判では、立憲民主党も含め一致した。それは解散・総選挙に向け野党共闘に筋を通して大きな推進力となる。
れいわ新選組の山本太郎氏(45歳)の65万余票は「アンダークラス」といわれる層の一定の支持だが、宇都宮氏も格差と貧困に苦しむ層に思いを寄せて闘った。今後、自公・維新に対抗する流れとして一体となることへの期待は大きい。なお、小池氏の大勝や、東京では基盤の弱い維新が推した小野靖泰輔氏(46歳)の61万余の得票は要注意だ。
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