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  2. 週刊新社会 >2020.11.10

海洋投棄の犯罪性      
連載第30回


 菅義偉内閣は10月27日に、東電福島第一原発に溜まっているトリチウムなど、危険な放射性物質を含む汚染水の海洋放出の日を決定する予定だった。しかし、世論の強い反対を前にして延期した。

 国際的な環境破壊である海洋投棄は、これから運動をさらに強めて、廃止に追い込もう、とする緊急集会が、27日第二衆議院議員会館前で開かれた。

 さようなら原発市民の会や再稼働阻止全国ネットワーク、原発をなくす全国連絡会、FoE Japan、原子力資料情報室、原発ゼロ基本法案事務局などの代表が参加し、政府に抗議した。主催が「さようなら原発市民の会」だったので、わたしも発言した。

 放射性廃棄物を海洋投棄するのは、1976年の「ロンドン条約」違反である。日本も1996年の「議定書」を締結している。浚渫物や下水汚泥などの海洋投棄でさえ厳格な条件で規制されている。

 ましてトリチウムなどの核種を含む、放射性物質の放出は世界の海への悪影響ばかりか、四方海に囲まれている日本自身の自殺行為である、と主張した。

 汚染水対策の基本方針は、漏らさない、近づかない、取り除くである。しかし、政府は薄め、許容範囲内に収めて放出する、と主張する。が、放射線の許容量などあるはずがない。

 人体に影響しない放射線などない。レントゲンは照射される危険と、病気を発見しない危険とを比較してのやむを得ない許容でしかない。

 原発は電力会社とメーカーや関連産業の利益のために、人体と環境を犠牲にする装置でしかない。福島第一原発の高濃度放射性物質まみれの汚染水は、123万トンと言われている。敷地に林立するタンクも2年後には満杯になる。

 環境を汚染する安易な放出は認められない。では汚染水をどうするか、科学者、市民を交えて研究、その結論に政府と東電は従うしかない。



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