■第2次安倍政権が発足してから1年近くが経過した。安倍首相は自らを改憲論者と自負し、第1次安倍政権で頓挫した改憲の道を再度歩み始めた。また、新自由主義政策をアベノミクスと称し、多国籍企業や大企業の意を体現した政策を全面的に推し進めている。
安倍政権は衆参両院で、圧倒的な与党議席数を背景に、今やその本性をむき出しにし、秋臨時国会と来年の通常国会で数々の悪法を準備している。それらの法案の行く着く先は、国民のより一層の困窮、解釈改憲による戦争の道だ。安倍政権は当面3年間の国政選挙が空白の期間にその実現を企てている。しかし、国民は安倍内閣に国政をフリーハンドでゆだねたわけではない。ましてや、安倍政権に「格差と貧困・戦争の道」を託したことはない。
■安倍政権は10月1日、来年4月からの消費税8%への増税と企業減税、5兆円の経済対策を決定した。また法人実効税率の速やかな検討、復興特別法人税の前倒し廃止を12月中に結論を出すとし、庶民に増税、大企業に減税の姿勢を露わにした。逆進性の強い消費税は所得の低い世帯ほど負担が重く、中小零細企業は増税部分を価格に転嫁できにくい。他方、輸出大企業には濡れ手に粟の戻し税となり、不公平税制そのものである。これに加え、この間のデフレ脱却・円安誘導による物価の高騰が追い討ちをかけ、国民生活は困窮を強いられている。
その一方で社会保障費の削減が準備されている。生活保護費・年金給付額の削減が始まり、今後は介護保険料の2割負担への引き上げや要支援者の切り捨て、高齢者の窓口医療負担の2割への引き上げも予定されている。このような社会保障費の切り捨てと個人負担の増大は、安倍政権の「自助・自立」の基本方針が変わらない限り延々と続く。
労働者はといえば「賃上げ要請」なる安倍首相の猿芝居の下、年収200万円以下のワーキングプアーが増大し、賃金も15ヵ月連続で下落している。その上、安倍政権は派遣労働法の改悪を企てている。「解雇特区」の検討はもっての外である。
■平和と憲法の危機も一層深刻になる。安倍政権は当面は解釈改憲を先行させ、事実上憲法を根底から空洞化・破壊する集団的自衛権行使可能な日本に突進し始めている。また、沖縄の県民感情を逆なでしたオスプレイを使った日米共同軍事訓練を強行するなど、全土の軍事基地化が強化されている。
秋の臨時国会では、国家安全保障会議設置法案と内閣法改正案、これと一体の秘密保護法案の提案、自衛隊法の一部改定が予定されている。さらに、12月年末までに、「新防衛大綱」を見直し、集団的自衛権の行使容認のための「安保法制懇」の答申も提出される予定だ。そして、来年の通常国会では国家安全保障基本法の制定をめざすというスケジュールで、憲法改悪に王手をかける日本改造計画が進む。
同時並行して年内にはTPP(環太平洋経済連携協定)の交渉が妥結する予定だ。日米の多国籍資本の自由な経済活動を保証するTPPは「秘密厳守」で交渉が進んでいる。また、東電福島原発事故は汚染水問題などで被害が拡大し、原発被害者への復興と生存の保障が脅かされるなか、原発再稼働推進、原発の海外輸出のトップセールスに走る安倍首相の犯罪的な役割が顕著になっている。その典型が「汚染水は完全にコントロールされている」という首相のオリンピック誘致演説であり、オリンピックが被災地切捨てに利用される危険性も強まっている。
■私たちは安倍政権の「格差と貧困・戦争の道」を許すわけにはいかない。すでに全国で闘いは始まっている。当面、「格差と貧困・戦争の道」に反対する全ての勢力が、共同闘争を国会内外で組もう。今こそ、安倍政権を大衆の力で追い込み、国政転換を図ろう。新社会党は改めて共同闘争を広く呼びかけ、その先頭に立つ決意を表明する。
以上
|