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2011年2月8日
オバマ一般教書
「経済戦争を勝ち抜く」 一に商機、二に雇用
 
 昨年11月の中間選挙の敗北を節目に、2年後の大統領選で再選を目指すオバマ米大統領の一般教書演説が1月25日、連邦議会で上下院議員が一堂に会して行われた。

 イラク・アフガニスタン戦争の戦費が財政を蝕み、米国発金融危機が世界経済を破綻に陥れ、米国の威信が失墜し、世界が多極化するなか、オバマ演説は「未来の勝利」を見据え、経済の立て直しへ超党派の協力を呼びかけた。


 ねじれ国会は米国も同じ。支持率は持ち直したものの足元の「オバマ連合」は解体状態。このため、演説は軸足を共和党寄りの中道に移した。

 演説が提起した課題は、雇用と産業の国内定着を図り、米国が「世界の光」として指導力を発揮し続けること。世界の人口の5%、世界GDPの25%、世界軍事費の50%を占める超大国米国。この経済的、軍事的優位を保ちつつ、グローバリズムのリーダーシップを執ることがオバマに課せられた使命なのだ。

 勝利のための具体的課題として、演説はクリーンエネルギー、新アポロ計画中心の技術革新、競争に勝つための教育や高速鉄道等のインフラ整備、25年ぶりの法人税引き下げで輸出倍増、今後5年の歳出削減、イラク・アフガニスタンの駐留米軍撤退などを挙げた。

 政権の信頼回復に雇用創出は必達課題。昨年12月の失業率は9・4%、非農業部門の就業者は10万3000人増えたとはいえ失業者は1449万人と深刻だ。「雇用問題は世界的競争の中で生まれる」。1月の米中経済貿易協力会議で航空機200機の売却など対中国輸出450億ドルの商談が成立した。これで23万5000人分の雇用が生まれると報告した。

 対中国貿易は米国経済にとって今後30年間の「土台」。1978年の市場経済導入後、中国のGDP成長率(実質)は年平均9・9%。昨年、日本を抜き世界第2位に躍り出て、2025年には米国をも抜くと推測される。米国にとってアジアは繁栄の源だ。

 財政赤字削減は、超党派で取り組む課題となった。2011会計年度の財政赤字は1兆4800億ドル、そのGDP比は66%。裁量的経費削減などにより2015年までに、赤字をGDP比2・3%まで下げることを目標に掲げた。総額7082億ドルと歳出の29%を占める軍事費も削る。

 オバマ演説を受けて「ジャパン・ナッシング(不在)」との嘆きが聞こえる。日本は冷戦体制の遺物=日米同盟から脱却すべき時なのに。



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