2月の内閣支持率が各紙調査で20%と発足以来最低となった菅政権が政権延命に力を入れているのが、環太平洋経済連携協定(TPP)への参加だ。
9カ国によるTPP第5回交渉が14日から18日までチリ・サンティアゴで開かれ、日豪経済連携協定(EPA)事務レベル交渉が10日まで東京都内で行われた。
迫り来る「開国」に日本の農業者らは、各地でTPP反対行動を展開し、39道府県議会が「反対」などの意見書を採択し、6月にTPPへの参加を表明、11月交渉妥結の日程を組む政府を追い込んでいる。
第5回TPP交渉は「2国間FTAより高い水準の自由化を目指す」「国内で抵抗の強い品目は原則、除外や再協議は認めない」ことを確認した。
この条件をクリアする上で試金石となっている日豪EPA交渉。重要品目の関税撤廃をめぐり難航したが、急遽、両政府間で早期締結を確認し、道筋だけはつけた。
日豪EPA交渉で日本は、小麦(関税率251・8%)、牛肉(38・5%)、バター(360%)などの完全自由化を求められ、オーストラリアには自動車、鉄鋼などの自由化を求めている。
輸出産業のために農業を犠牲にするこの構図は、多国間協定のTPPでも変わらない。日本以外の9カ国は農産物輸出国で、同市場開放の標的は日本なのだ。
国の戦略物資といわれる食料生産を他国に委ねる世紀の愚作。これを主導するのは日本経団連。日豪ETPとTPP交渉に合わせて10日、「貿易自由化と農業維持へ提言」を発表した。
その骨子は農業の企業化、規模拡大、生産性・競争力向上だ。維持どころか解体策というほかない。他方、PTTの主導者は米国企業連合。オバマ政権の輸出拡大戦略によって、アジア太平洋市場の支配を狙う。最終ターゲットは中国市場だ。
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