統一自治体選挙後半戦の投開票が4月24日に行われ、新社会党が公認・推薦した68人の候補者のうち無投票を含め52人が当選、16人が惜敗した。
なかでも、世代交代した山田啓史さん(東京・新宿区)、福田光一さん(同・北区)、石川翼さん(愛知・安城市)、笠原晴彦さん(新潟・柏崎市)、新人の山城保男さん(神奈川・横須賀市)、川崎利生さん(愛媛・新居浜市)、坂東俊子さん(熊本・荒尾市)の当選は新たな活力として地元はもとより全国から注目されている。
若いパワー 新人が当選
人を大切に
石川 翼さん 愛知・安城市議選
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若い力で政治を変えようと訴えて当選した
石川翼さん(後列中央)=4月24日 |
定数30を33人が争った愛知県安城市議選で新社会党推薦の新人石川翼さん(25歳)が、2039票を得て21位で当選した。中部地方では政令市を除き最年少市議となる。
地元紙には「躍進の新風」「73歳の思い継ぐ」とトップで報じられた。石川さんの思いは「人を大切にする政治」。当選を決め、「若者が就職しやすい社会へ、全力を尽くします」と市民に誓った。
今春、安城市議5期を務め引退する和田米吉さんは、無事バトンタッチを果たし頬が緩む。若い石川さんの決意を受け、みんなで政策を議論し、和田後援会を一軒一軒回った。「若い力で政治を変えよう」。
愛知ユニオン、連帯ユニオン、社民党、民主党の共同的支援も当選の力になった。(愛知発)
福祉ひとすじ
山田 啓史さん 東京・新宿区議選
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当選御礼の朝立ちをする山田啓史さん
=4月25日 |
東京・新宿区議選は、定数38に62人が立候補した都内でも有数の大激戦地。
山田啓史さん(34歳)は、半年前に10年間務めた全国社会福祉協議会を退職し、新社会党の議席を継承するために不退転の決意でこの選挙戦に臨んだ。
選挙では、全社協での貴重な経験をもとに社会福祉充実を訴え、地域住民の共感を広げ見事に初陣を飾った。
期間中、自ら共同代表を務めるNPO法人や出身校の新宿高校や早稲田大学の若い仲間が連日つめかけ、新社会党東京都本部のベテラン党員と一緒に必勝を期して連日駆け回り、24位当選を勝ち取った。(東京発)
やったあ当選
福田 光一さん 東京・北区議選
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未明の万歳に感激もひとしおの福田光一さん |
東京・北区議会選挙(定数44)は56名が立候補し、新社会党公認の福田光一さん(32歳)は、最下位だが1778票で初陣を飾った。
光一候補は7期務めた福田実区議の後継者で、プロボクサーという異色の経歴。多くの新人や「みんなの党」などが乱立し、闘いは熾烈を極めた。
選挙スローガンは「若者に夢を、お年寄りに安心を」。昨秋以降、月1回2万枚の全戸配布、連日支持者へのあいさつ回り、集会などやれることはすべてやった。
開票は翌日未明。関係者が息を呑むなか、ようやく当選が決まった。新区議は、新たな活動スタイルを担う決意を表明した。(東京発)
横須賀市議選 基地の街に初議席
山城保夫さん 3度目の挑戦で
基地の街・横須賀市(神奈川県)で、新社会党推薦の山城保男さん(63歳)は三度目の挑戦で2112票を獲得し、40位(定数41)で初当選を果たした。選管の最終発表で当選が出て、事務所は喜びに湧いた。
横須賀市議選は、定数が前回から2減となるなか61名が立候補する激戦だった。また、大震災・大津波、福島第一原発の事故災害で、現職議員が「選挙活動を自粛」し、新人議員には厳しい選挙戦となった。
そうしたなか、町会役員を担って活動してきた山城さんへの地元の信頼は厚く、地元の多くの人々の応援が得られ、後援会の会員が、「山城保男をお願いします」と最後まで知人・友人に声をかけ続けた。
また、原子力空母母港化反対の運動を一緒にしてきた呉東正彦弁護士と提携した市民法律相談、ユニオンの労働相談を通じて支援者も広がり、個人演説会への参加者増となって現れた。
今回は社民・新社会の推薦に加えて相鉄労組の推薦があったことも大きかった。
山城さんは当選後、「まず税金のムダ使いを止め、使い道を市民と話し合い議会に提案していく。第二に平和で安心して生活できるヨコスカにむけ大震災・津波対策の実現、第三に福島第一原発の何倍も危険な原子力空母G・Wの母港化撤回を展望し、脱原発によるエネルギー政策への根本的転換に向け、地域で議会で活動する」と改めて決意を表明した。(神奈川発)
愛媛・新居浜市で議席回復
川崎さん雪辱の初当選
愛媛県新居浜市会議員選挙(定数26)で、新社会党公認の川崎利生さん(60歳)は1392票を獲得し、26位で初当選、前回53票差で次点となって田坂重只さんからの議席継承ができなかった悔しさを晴らした。
選挙戦は30名が立候補した。今回の選挙は、定数が2削減され、新人の川崎さんは大変苦しい闘いだったが、地元自治会を中心に足場を固め、また元職場の郵政職場、退職者への切り込みをはかったことが奏功した。
今回の選挙は投票率が前回より7・4%も下がる53・2%だったが、川崎さんは逆に票を増やし、みごと初当選を果たした。川崎さんは、市営住宅の国民年金しか収入のない高齢者の困窮、定職のない若者の雇用問題を中心に訴えた。
また、愛媛県にある四電の伊方原発について「原発いらない」と看板を掲げ、遊説では「福島の原発災害は他人事ではない。このままでいいのか考えていこう」と訴えた。
党愛媛県本部にとっては、一昨年の高橋章哲・西条市議、昨年の梶原時義・松山市議、そして川崎利生新居浜市議の誕生と、3連勝であり、党再建に明るい展望を切り開くものとなった。川崎さんの選挙には愛媛県内はもとより、四国各県からも多くの党員らが応援に駆けつけた。(愛媛発)
坂東さん当選
荒尾市議選 議席増はならず
新社会党荒尾総支部(熊本県本部)は、前半戦での岩中伸司県議の無投票5期連続当選の勢いをかって、荒尾市議の1増をめざして公認5人の当選へ総力を上げた。
新人の坂東俊子さんは当選したものの、連続6期をめざした田中浩治さんが地元から女性新人(落選)が立候補したあおりで18票差の次点となった。
公認決定から11カ月、地域訪問を積み重ねて初当選を果たした坂東さんは当選後、「地域訪問で思わぬ激励を受け、また古いつながりを発見したりと、意義ある活動ができた。地域の人々の推薦、友人知人や親戚の献身的な援助などを通じ、支持を広げることができた」と支援に感謝した。
また、「950票の重みをかみしめ、明日から地域を歩く」と力強く決意と抱負を語った。
荒尾市議選(定数22、立候補者25人)は、投票率61・38%。新社会党は、池田章子さん(62歳)と谷口繁治さん(64歳)が1100票の同得票数、10位で共に連続5期目の当選、2期目の野田ゆみさん(46歳)は992票で18位当選、新人の坂東俊子さん(61歳)は959票で19位当選、田中浩治さん(47歳)は879票の次点だった。(熊本発)
原発再開問う柏崎市議選
笠原 晴彦 さん 当選
新潟県柏崎市議会選挙は定数が4減の26で争われた。30人が立候補し、笠原晴彦さん(41歳)は農協を退職しての背水の陣で、父親の革新の議席を1842票(11位)で守り、見事当選した。
柏崎は東電の原発を7基抱え、東日本大震災と福島第一原発の事故を受けた後の選挙で、自粛ムードのなか、原発問題が大きな争点として争われた。
とくに07年の中越沖地震で原発が損傷し、全7基が停止、その後4基が運転再開しているが、残る3基の再開を認めるか否かが争点となった。笠原さんは再開には慎重にも慎重を期すよう訴えた。(新潟発)
統一自治体選後半戦の焦点
第17回統一自治体選の後半戦では73市長選、63町村長選、13東京都特別区長選、286市議選、292町村議選、21特別区議選が行われた。
東日本大震災から1カ月、救援・復興、原発対策に追われる与党民主党が大敗。生活の不安感が社会を覆い、菅政権への失望は強力な指導力待望となり、政治の復旧・「革新」化傾向を生み、再び政治の漂流が始まった。
そこで羅針盤となるのが「命とくらし」だが、これを訴えた護憲派も議席を減らした。そのなかで「脱原発」、「住基ネット」選挙が注目された。
原発を抱える福井県敦賀市長選は、「原発との共存・共栄」を掲げた現職が当選。新潟県柏崎市議選では原発反対派が後退、推進派の東電労組の組織内候補は全員当選した。
その一方、石川県志賀町議選で原発反対派がトップで返り咲き、人口83万人の東京都世田谷区長選で、「脱原発」を訴える保坂展人・元社民党衆院議員(53歳)が当選した。
原発断固推進派の老朽石原都政≠ノ灯った良識の光。保坂新区長は「老朽化した原発から止めて新エネルギーに転換を」と意気込み、都民の期待を一身に集めている。
住基ネットは、接続拒否の茨城県矢祭町と東京都国立市の首長選が注目された。国立市は接続派の新人、矢祭町は反対派の現職が勝った。当選した矢祭町長は「10円の便利のために100万円を使うことはできない」と訴えた。
原発と同様、目先の利便性や利益のために命やプライバシーを売っては元も子もない。
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