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 新社会党
2011年1月25日

  TPP参加阻止へ
    世論を大きく盛り上げよう


 日本の農業と農村を崩壊させかねないTPP(環太平洋経済連携協定)への参加に、菅直人首相が強い意欲を示している。「6月をめどに決める」としているが、勤労国民にとって百害あって一利なしだ。TPP参加を絶対に許さない闘いを広げよう。

 菅首相の発言は「TPPに参加して平成の開国を進める」(年頭記者会見)とボルテージを上げ、5日の初閣議では「平成の開国を断固やる」と檄を飛ばした。さらに内閣改造では経済産業相を慎重派の大畠章宏氏から賛成派の海江田万里氏にすげ替えた。

 
経過無視の首相発言

 TPPは、2001年から行き詰まっているWTO(世界貿易機関)交渉で06年、チリ、マレーシア、シンガポール、ニュージーランドなどが始めた100%自由化の貿易協定である。かつてカナダが参加表明した際、乳製品に輸入条件をつけようとして加盟を拒否された経過があるなど、完全自由化が原則だ。

 米国が加盟するのは世界最大のアジア市場で中国に対抗して主導権を確保し、将来、ATAAP(アジア・太平洋自由貿易圏)を確立する意図がある。

 日本は、WTO交渉でEUなどと「農業の多面的機能の重視」「輸出規制禁止」などを主張し、米、豪、加など貿易の完全自由化を目指すケアンズグループと真っ向から対立している。TPPの中心は、ケアンズグループそのものだ。

 菅首相の発言は、日本がWTO交渉で発言してきたことを頭から否定するもので、農業や労働現場の実態、交渉経緯を無視した暴言と言わざるを得ない。

 農水省が、日本の農業や農村、国民生活に与えるTPPの影響を試算したところ、食料自給率は40%から14%に低下し、米や畜産、酪農などは壊滅的な打撃を受ける。農業生産額は、8兆円から4・1兆円に半減すると予測している。

 TPP加盟は、農業人口の高齢化(65歳以上が60%)、後継者不足(11年の新成人140万人のうち農業後継者は1%)、中山間地の耕作放棄、集落の消滅、森林荒廃などとあいまって農業・農村社会の崩壊を加速度的に進める。

 
大企業の利益第一に

 また、BSE汚染牛肉の流入や遺伝子組み換え農産物輸入の拡大につながり、国民の生命と健康を危険にさらす。さらに37兆円にも及ぶ農林業の公益的機能(国土保全、環境保全など)を奪う。つまり、TPPは、国民を犠牲にして一部の輸出大企業の利益だけを守るものなのである。

 だが、菅首相は「参加しなければ世界の孤児になる」「農業を強くすれば大丈夫」「貿易立国だから仕方がない」といった言辞に完全に乗っている。不見識なこと極まりない。

 私たちはTPP参加を阻止するため、 職場や地域での学習宣伝、 地方議会(2月議会)に合わせた決議提出など議会要請行動、 全国農協中央会などが行う1000万署名活動への連帯、 統一自治体選挙候補者や労働組合、消費者団体への要請と賛同署名・街宣行動、 農水省、経済産業省、外務省への抗議はがき、FAX、メールの送信行動などに取り組み、反対の世論を盛り上げていく。





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