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2011年3月1日 |
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国が名護市に異議申立て |
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権力乱用、本末転倒の暴挙 |
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鳩山由紀夫前首相の「抑止力は方便」発言が、厳しい批判を受けている。鳩山発言の2週間前、沖縄の地元紙は「国、名護に異議申立て」と1面トップで報じた。どちらも辺野古への新基地建設問題だ。「異議申立て」は菅政権の強権姿勢を如実に示す。
本紙では鳩山発言について、安里英子さんが前号の「沖縄だより」で、沖縄の民衆の視点から痛烈な皮肉を込めて論じた。
本土の大新聞の論調は、なべて「鳩山発言によって、辺野古新基地の建設はますます困難になった」と前首相の責任を追及するものだ。沖縄の心を踏みにじる大新聞など論外であり、鳩山発言と相まって沖縄の人々の怒りを増幅させるだけだ。
「抑止力」が軍事的緊張を煽る危険で無責任なものであることはもちろんだが、「方便」で新基地を押し付けるのは許されない。安里さんが指摘するように、その無責任さが「沖縄住民の地獄」を生んでいることを、本土の住民とマスコミは気づき、知るべきだ。
政権の異常な対応
さて本土のマスコミは、国の名護市に対する「異議申立て」について、ほとんど報じなかった(知る限り、「全く報じなかった」と言っていい)。『沖縄タイムス』が1月29日付1面トップで報じたところによれば、事実関係はこうだ。
「沖縄防衛局は(1月)28日、米軍普天間飛行場の代替施設建設に向けて名護市辺野古の陸海域などで実施している現況調査を名護市が許可しなかったことについて、行政不服審査法に基づき、同市に異議を申し立てた」
行政不服審査法は、公権力である行政機関などの行為に対して、国民の権利・利益の救済を図るのが目的であり、沖縄防衛局が名護市に申し立てたのは極めて異例で、有り得ないことだ。
同法の立法目的は、 行政の違法または不当な処分、その他公権力の行使に当たる行為について、国民に広く行政庁に対する不服申立ての道を開き、国民の権利・利益の救済を簡易・迅速に図る、 行政の適正な運営を確保することにあるのだから、法律は権力の主体である国の申立てを想定していない。
しかも、沖縄防衛局の対応も異例だ。名護市への事前の通告もなく、市側は「総務課長の机の上に置かれた申立て文書」によって知ったという。その一方で、沖縄防衛局は県庁で記者会見し、申し立てたことを発表した。
権力乱用むき出し
防衛省が昨年暮れ、名護市の辺野古新基地建設反対を理由に米軍再編交付金の支払い停止を通告したことも忘れてはならない。米軍再編交付金は、米軍再編に協力する自治体に対し、協力の進捗度に応じて交付金を増やしていく制度だ。
支払い停止を通告した北澤俊美防衛相は、「基地に反対するなら、それなりの覚悟が必要」とうそぶいた。「最低でも県外」と公約して政権交代した民主党政権が、ここまで変質したという見本だ。
自公政権はかつて、辺野古の海での反対闘争を弾圧するため自衛艦を派遣した。異議申立も、再編交付金の停止も、民主党政権がむき出しの権力を乱用する姿であり、自公政権と全く変わらない。
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