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 新社会党
2011年5月24日

  東電免責・国民負担
    こんなものは認められない



 福島原発事故の賠償を、誰がどう負担するかの政府案(枠組み)が5月13日決まった。国会で審議されるが、東電など電力各社の拠出と交付国債で「機構」を作り、賠償に対応する。しかし甘い想定と東電の事実上の免責、国民負担の容認など極めて問題だ。

 
見えない償う姿勢

 東電は、原発事故被災者に1世帯わずか100万円の仮払いをやっと始めたが、避難世帯には最低限の生活資金として一刻も早い第二次の仮払いが必要だ。農畜産業、漁業、雇用など本格的な損害賠償は一刻も猶予できないが、手付かずだ。

 だが、「枠組み」には本気で全被害者に償う姿勢が見えない。第一に賠償総額の想定が論外。政府は賠償額を5兆円と見積もったが、事故は進行なのに早くも想定は破綻し、交付国債だけで10兆円と云々されている。

 汚染地域から避難し経済基盤を喪失している住民への最小限の生活資金だけで兆単位の資金が必要になる。生産者への賠償は桁違いのはず。政府指示で避難した者に限定する案も浮上した。賠償の「基準」を厳格化して被災者を切り捨てるつもりか。被害は少なくとも数十年は続く。

 
株主の責任は当然

 第二に原発復活に道を開いている。メディアも「東電救済策」と批判し、自民党の河野太郎衆院議員さえ「東電を逆さにして鼻血もでないようにせよ」と言う。原発大災害を起こしても「一部上場」が保証される程に国が救うなら、資本は原発から撤退しない。役員が年7000万円の報酬を返上しても、資本は痛痒を感じない。

 菅直人首相が「エネルギー計画は白紙で見直す」と言っても、台無しだ。東電の鼻血だけでは足りない。「枠組み」は「すべての利害関係者に協力を求める」と明記している。

 枝野幸男官房長官も「金融機関が債権放棄しなければ国の援助は難しい」とした。投資で儲けた金融機関や株主が、賠償のため血を流すのは当然。株で損をしても救われないのが資本主義だ。それでも懲りない面々がいる。年1・7兆円近い原発関連の売上げがある電機資本などに「原発税」を課してはどうか。

 クリントン米国務長官は全米商工会議所会頭を伴い、サルコジ仏大統領は原発企業アレバ役員と連携して来日した。廃炉ビジネスの売込みだ。こんな不条理な原発利益共同体の総体から賠償資金を徴収し、原発は大損と痛感させることだ。

 
原発再開カンパに

 第三に、東電救済に国民負担に道を開く。「枠組み」は東電に一義的に責任を負わせるが、「賠償総額に事前の上限を設けない」と「事前」を付記し、「電力の安定供給に支障が生じる」場合は「政府が補助できる」とした。「国民負担の最小化」も明記した。

 賠償額が増大すれば、「最小」であっても電気料金値上げを認め、税金投入の構えだ。被災者を救えるなら値上げも仕方ないなどと、騙されてはいけない。それは原発再開カンパになってしまう。

 地域独占で、大企業にとっても不可欠な電力事業がなくなるわけがない。「賠償を即刻実行せよ」「税金を使うな」「料金を値上げするな」という声を大きく上げよう。





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