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2011年6月7日 |
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ドーヴィル・サミット |
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変わらぬ大国利益§H線 |
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菅首相は5月26〜27日のドーヴィル(フランス)でのG8サミットで、東日本大震災からの復興と「原子力の安全性と自然エネルギーの実用化」を約束。それは一部、首脳宣言にも反映されたが、日本政府を含む原発推進諸国の正当化の文脈でしかない。
原発推進になお固執
全93項目の首脳宣言では、従来、言及もなかった「原子力安全」が独立テーマとなり、11項目が充てられた。だが、「日本の事故からあらゆる教訓を学ぶ」としつつ、原発の是非を見直す姿勢は皆無で、あくまで原発の維持・推進のため「最高水準の安全を促進する」。
ドイツなどの脱原発の動きには触れず「導入又は廃止も含め様々なアプローチがありうる」というだけ。菅首相は25日のOECDでのスピーチで、「原子力の安全性への挑戦」を強調。最悪の原発震災を引き起こした日本の首相が原発維持を打ち出したことを他の首脳は歓迎した。
菅首相は、「自然エネルギーの割合を20年代の早期に20%を超えるよう取り組む」「太陽電池の発電コストを20年には3分の1に、30年には6分の1に引き下げる」「1000万戸の屋根に太陽光パネルを設置」と打ち上げたが、原発の割合がどうなるかは不明で、自然エネルギーの数値目標実現の裏付けはまったくない。またも、無責任な「言ってみただけ」に終わるだろう。
「平和と安全」の欺瞞
全93項目の宣言中「平和と安全」が30項目と最多だが、いかにも欧米大国からの目線による問題点の羅列に終わっている。イラン、北朝鮮、シリアの核疑惑への懸念は従来通り。進行中のリビア、シリア、イエメンにおける武力弾圧について停止要求はしたが、これらの独裁政権に寛容・支援したのは米欧諸国だった。
この欺瞞性は、イスラエルのパレスチナ占領問題への姿勢で際立っている。オバマ大統領は先に、「67年戦争以前の国境線を解決の基本に」と表明したが、イスラエル側の猛反発にあい、すぐに後退。首脳宣言では「安全と地域統合を求めるイスラエル人の切望を含め」「交渉による解決」を求めただけ。
なお、このテーマでも、「原子力の平和利用のための資機材、技術情報の提供の拡大」がうたわれている。ウィキリークスの暴露で痛手を受けたG8はインターネットに19項目も割き、「平和と安全に整合的でない目的、かつ重要なシステムの公正性に悪影響を与えうる目的での使用を懸念」、規制強化を示唆する一方、中国などを念頭に「検閲、アクセス制限」を非難。
「9月訪米の招待」
オバマ大統領がサミット中の会談で、菅首相を「9月前半」に招待したが、これは菅内閣が夏以降も続くという米の計算との説も。「2+2」は、「国会の了承を前提に6月下旬開催」で合意した。
米上院で辺野古移設に対して高まる批判にも、「昨年5月の日米合意を推進」で一致したとされる。だが、沖縄の拒否は強く、米議会会計監査院の試算でも、グアム移転費用は3倍になるとされ、日米合意は死に体だ。
サミットの場からはいかなる新たな息吹も生まれえない。
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