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2011年6月14日 |
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不信任案から大連立 |
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国民不在で統治再編巡る混迷 |
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6月1日、民主党に分裂の緊張が走った。2日、菅直人首相の突然の辞意表明によって、民主党は内閣不信任案を否決したが、直後に事実上の「居座り」発言。テンヤワンヤの騒ぎの末、事態は「大連立」へ向かう。国民不在の混乱もいいところだが、背景は何か。
前首相が現首相を「ペテン師」呼ばわりして糾弾するのだから民主党には恐れ入る。
「恥ずかしい」というわけか、今度は首相側近が口をそろえて早期退陣を唱えて「大連立」の幕を開けた。1年足らずで首相が交代するのは5回目だが、この1週間の「空騒ぎ」は従来の政治の混迷の域を超えている。
民衆の苦悩は無視
これから展開される「政界再編」と「大連立」の綱引きの両サイドの面々は誰かなど、酒の肴にはもってこいだ。民・自両党にまたがる反小沢と親小沢、反菅と親菅、若手と古手など順列組合せは数十通りもあろうか。
しかし、国民・主権者は笑って済まされない。今後どうなるのか。閣内か閣外かは別にして、「復興」と消費税増税の前提づくりを共通項とした時限「大連立」ができる。
激しい駆け引きは新首相を巡ってだが、それと一体不可分な解散総選挙の時期も大問題だ。民主・自民両党の内部抗争しだいで、来春にも解散総選挙の可能性がある。そして、並行してめまぐるしく「政界再編」も進む。被災者の生存権も放射能の恐怖もそっちのけで、政治は混迷をいっそう深めるだろう。
政治勢力が、かつてのように社会の階級的構成に対応して形成され、対抗するのではない。当事者自身ですら「一寸先」が見通せず、右往左往を繰り返し続ける前例のない混迷なのである。
これは、資本主義制度自体が未曾有の危機にある反映である。リーマンショックからの長期不況は財政危機を深化させ、小泉首相退陣以降の首相交替劇の動因となっている。
長期不況はオバマ米政権を軍事路線に再転換させ、世界支配のため鳩山内閣に沖縄を切り捨てさせた。世界的に経済活性化の目玉として原発が再び推進されようとしたが、フクシマが出鼻を挫いた。
全て民衆の犠牲で
「大震災復興以上」と想定される原発事故の対策費用は、国家予算の規模になるだろう。この負担をだれに負わせるかは、消費税増税をはじめ重大な政治問題となる。
長期不況と言い、原発事故と言い、未曾有の事態を乗り越えるための犠牲を民衆に押し付け、そのためにどうするか。民衆の不満が政治を「不安定」にしないように、政治不信を国会議員の定数削減にどう導き、参議院廃止から道州制にいたる統治機構をどう改編するか、そして「新憲法」をどう制定するか。
この難題突破の態勢づくりで右往左往しているのが、今日の状況なのである。しかし、体制側が民衆の眼前で右往左往できるのは、体制の安泰感が生む余裕でもある。
世間は脱原発へと向かっているのに、世論調査では護憲勢力は社民・共産合わせても支持率2%前後という惨状だ。脱原発をめざし、生存権を防衛するために、今こそ行き掛かりを捨てて力を合わせるべきではないか。
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