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2011年7月5日 |
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2プラス2 |
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どさくさ紛れに「合意」突出 |
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米国の国務・国防長官と日本の外務・防衛大臣による日米安保協議委員会(2プラス2)が開かれ、6月21日に共同声明を出した。東日本大震災のドサクサにまぎれた両政府官僚による作文で、沖縄をはじめ関係自治体住民の意思はまったく無視された。
共同声明は、北朝鮮の挑発抑止、完全かつ検証可能な非核化や、中国への「国際的な行動規範の順守」要求などを強調、「多様な事態への対処能力向上」を謳い、この抽象的な言葉で、歯止めなき日米軍事一体化の諸方針を正当化している。
MDも武器開発も
共同声明は、日米で開発したミサイル防衛(MD)の海上配備型迎撃ミサイルは、「日本の安全保障や国際平和に資する場合で、第三国に再移転の防止策がある場合」は移転を認めうるとした。NATOへのMD配備が当面の対象で、ロシアは反発。さらに日本は武器の国際共同開発・生産の検討を促進するとも明記。武器禁輸3原則の突破宣言である。
2+2の文書「在日米軍の再編の進展」はキャンプ座間での米陸軍第1軍団司令部と自衛隊中央即応集団司令部の同居、横田基地への空自航空総隊司令部の移転と今年度中の共同統合運用調整所の運用開始を「歓迎」。共同声明では、鹿児島県西之表市の馬毛島を米空母艦載機の離着陸訓練の恒久施設とする方針も打ち出した。
馬毛島は、「南西地域防衛」を掲げる防衛省が、自衛隊の訓練や「大規模災害を含む各種事態への対処活動の支援」の施設を置くと位置付けている。西之表市は反対の立場だがほぼ無人の同島を所有する開発会社は、樹木伐採に関する市の立入検査も拒否し、基地化で利益を得る姿勢だ。
また、福島原発事故の経験として両国によるリアルタイムの情報共有が強調され、自治体の防災訓練への米軍の参加まで打ち出された。「トモダチ作戦」に味をしめた大震災の政治的利用である。
辺野古に固執だが
しかし今回の2+2の最大の焦点は、普天間基地の「代替」とする辺野古基地建設問題だ。「辺野古」が動かないと見た米上院議員らは最近、「嘉手納統合」を提案しただけでなく、上院軍事委員会は米側グアム移転予算の全額削除も決めた。
焦った2+2(と日米外務・防衛官僚)は辺野古への「V字形の2本の滑走路(1800m)建設」を確認しつつ、従来の目標の2014年には達成できないことを認め、「できるだけ早期に完了させる」と濁した。
自公政権が合意したV字形案に民主党政権が公式に回帰したものだが、当時と違って沖縄県民は仲井真知事を含め拒否でまとまっており、新基地建設が進む見込みはない。
米側の発表(という体裁)による普天間基地へのオスプレイ配備の合意は、普天間のより危険な恒久化という県民への揺さぶりであり、基地周辺住民の生命と安全という看板を両政府の政治家や官僚自体が信じていないことを示している。
「日米同盟」をどんな美辞麗句で飾ってもこんな人間不在の「力こそ正義」の姿勢では人びとの支持も共感も得られない。
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