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 新社会党
2011年9月6日

  野田新政権
    増税・列島総合理化の方向


 東日本大震災・福島原発事故から半年、菅政権を受け継いだ野田新政権は、死の灰から避難が続く被災者の現実を横に、「国民生活が第一」の政権公約を踏みにじり、自公との連携を標榜、震災復興を名目に増税、列島総合理化の方向を明らかにした。

 退陣表明した菅直人前首相は、民主党代表選最中の8月28日福島市を訪れ、高放射線量地域は帰宅まで20年、核汚染物を保管するため福島県に中間貯蔵施設を造ると知事に伝えた。原発事故が収束し、故郷での生活再建に淡い期待を寄せていた避難民の夢は打ち砕かれた。また県民の健康調査で、4割を超える子どもたちの甲状腺被曝が明らかになった。

 
被災者不在の代表選

 政治に求められていることは、第一に震災の被害の実相、とりわけ死の灰による非常事態が今も続いている実態を明らかにし、その対策と同時に避難生活に苦しむ被曝者・被災者に寄り添い、生活再建をどう支えるかだ。

 第二に原発事故は「安全神話」がまやかしで、地震列島・モンスーンの日本では原発は常に危険であり、一たび事故があればその収束は困難。もともとウラン採掘から最終処分まで「核は人類と共存できない」事実を明らかにした。菅首相が表明した「脱原発依存」を受け継ぎ、どう具体化するかである。

 だが、民主党代表選、新首相選びはどうだったか。大震災を利用して、第一に第一次産業を軸にした地元産業の再生に反し、「創造的復興」という民間大企業の参入を促す地域再編成をどう進めるのか、その財源のための増税をどうするのか。

 第二に財政再建のための消費税増税と社会保障制度の再編・切捨て。そしてTPPなど自由貿易推進のための規制緩和の断行、成長戦略と財政再建を一挙にどう進めるか、中国の台頭や世界金融不安まで動員し、グローバル競争に負けるな、多国籍資本あっての日本などの大合唱だ。

 そこには経済戦争はあっても、生きた人間が営む地域経済や、憲法25条を生かす地域福祉や雇用創出に注ぐ視点はない。

 
政権公約も投げ捨て

 民主党は小泉構造改革が生み出した格差・疲弊社会に対し、「国民生活が第一」と訴え政権交代を実現した。だが、初代鳩山政権は沖縄で国民を裏切り、二代目菅政権は消費税アップで国民の信を失い、今や政党の魂である公約まで投げ打って自公にすり寄った。

 米倉弘昌経団連会長は脱原発に反発し、電力の安定供給がなければ企業は海外移転し、雇用は崩壊すると恫かつする。資本はふてぶてしい。三代目・野田政権は、多国籍資本を軸とする支配層の最小公倍数政権である。

 野田新首相は大連立、増税を公言し、「靖国神社に合祀されたA級戦犯は戦争犯罪人ではない」という信念を持った政治家。日米同盟の強化、国会議員定数の見直し、政治不信のもとで右傾化が進む、大変危険な情勢だ。

 しかし、新政権が進める成長戦略と財政再建=増税と福祉切捨ては、被災地の生活再建・原発事故損賠だけでなく、国民生活全般と衝突せざるを得ない。人間らしく生きるための要求と、闘いの現場に新社会党はある。





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