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2011年9月13日 |
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原子力安全庁 |
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イチジクの葉≠ノ過ぎない |
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福島原発の事故をふまえ、経産省から独立した新たな原子力規制機関がつくられるとすれば、だれもがせめて公正取引委員会の程度には自立性の高い組織(「三条委員会」)ができることを期待する。
しかし原子力安全庁にはさほど期待できそうもない。
政府は、環境省の外局として「原子力安全庁」を来年4月に設置することを決めた。
原発を推進してきた経産省から、原子力の規制に当たってきた原子力安全・保安院を分離することになる。内閣府の原子力安全委員会の機能や、文科省の環境モニタリング機能などと合わせ、安全庁に統合するとされる。
長年にわたり、ブレーキがアクセルの装飾的部品でしかなかった原子力行政は、「安全神話の崩壊」によって破綻した。しかし、この「組織改革」で国民の安全が重視されることになるだろうか。
原発活用を主張して
第一に、環境省の実情と、従来から経産省に従属しているかのような弱い立場から、原発推進の経産省をどれほど規制できるだろうか。
第二に、環境省は「地球温暖化防止」のために原発の活用を訴えてきたところだ。この誤れる方針は転換されているのか。
第三に、原発立地に関わる環境アセス(影響評価)を行ってきたのは、放射能については経産省資源エネルギー庁であって、保安院でも環境省でもない。
第四に、安全庁を担う人も問題だ。今までの保安院に属していたり、経産省にいた人が入るのでは意味がない。専門家も、従来の原発を推進する立場の学者などが入るのでは変わりようもない。人心一新は不可欠だ。
従来は電力会社や関連企業、日立、東芝、三菱等の原発メーカーから社員が保安院に再就職(転職)して、出身企業からの納入でできた原発の検査等を担当することすら当然のように行われていた。
保安院が環境省外局の安全庁に統合されても、これでは検査自体が信頼性を欠くままであることに変わりはない。かねて無数に生じたデータの改ざんや偽装が、それによってなくなるとは思えない。
金で強力に民衆支配
巨大な設備投資に絡んで、独占資本と、霞が関の幹部官僚と、自民・民主など保守政治家と首長の関係に御用学者なども加わって、金力によるいかに強力な人脈と民衆支配ができているかは、福島の事故によって明らかになっている。
しかも福島原発や、稼働を続ければさらなる大事故を起こしかねない原発を地震列島に林立させてしまった責任者たち、即ち過去からの経営者、幹部官僚や大臣、政治家たちは、何の処罰も受けていない。今日の国家と国家機関とは、巨大資本の階級支配の機関であることが誰にも分りやすくなっている。
このような国家機関の一つとして原子力安全庁ができるからといって、大きな期待をもつことはできない。遅ればせながらの、よりましな機関にはなりえても、基本的には恥部を隠すイチジクの葉にしかなるまい。
少しでもまともな機能を実現させるためには、民衆の先頭に立って反原発・脱原発の闘いを強化することによって、独占資本を孤立させる以外にはない。
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