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 新社会党
2011年9月27日

  復興増税
    財界優遇・国民転嫁に反対


 未曾有の災害には多額の復旧・復興費が必要で、財源問題が浮上している。だが、原発震災の責任追及・原因究明もあいまいなまま、生業を奪われ、避難生活を強いられている被災者に対して、現行被災者支援法の抜本的見直しもない復興財源とは何であろうか。


 借金約900兆円、国も地方も財政破綻の下で東日本大震災が襲った。その中で復興財源をどう捻出するか。5年間で政府が負担する復興費用は約19兆円と算出されている。二次補正で6兆円が手当され、年金財源穴埋め分(流用2・5兆円)、B型肝炎補償(7000億円)も含め今後16兆円が必要という。

 不足分は復興債で賄うことになるが、野田政権は「今を生きる世代で連帯し、負担を分かち合う」と「復興増税」を打ち出した。

 だが、デフレ下の増税はさらに景気を悪化させ、税収減となると反対意見も根強く、ムダ減らしが先だと子ども手当をはじめマニフェストの見直しや公務員人件費削減、また政府保有の郵政株などの売却(6・4兆円)案が浮上している。

 また、震災を機に新産業を興して日本経済を立て直せば、税収増につながり増税も縮小できるという成長戦略信奉も根強い。禁じ手である国債の日銀丸受けという案まである。

 
「生活第一」どこへ

 しかし、次に来る税と社会保障の一体改革=消費税アップと福祉切捨てとの関連、そして政権不信もあってどう決まるか定かでない。確かなのは国民負担によって「国難」を乗り切る姿勢だけだ。

 復興増税は、所得税は5年間一律10%(10年なら5%)増税する一方、法人税は5%減税し、その上に3年に限って4・2%増税という財界べったり案が検討されている。「国民生活が第一」と訴えて政権奪取した民主党はどこへ行ったのか。

 忘れてならないのは、原発事故の収束の見通しも立たず、放射能汚染地域で被曝の不安におののき、帰宅もできない原発被害者のことである。瓦礫は山積み、家の再建も進まない、そして生業を奪われ、7万人の失業という被災地の現実だ。

 復興とは、そこに住み暮らす人々の生活再建ではないのか。だが、災害救助法や被災者生活再建支援法の抜本的な見直しは、政治課題に上っていない。

 果たして今の政治に被災者・被災地に寄り添う姿勢はあるのか、職がない中で、とりわけ若者の流出が続き、お年寄りが取り残される町や村、「東北の切捨て」ではないのか。

 
被害者の自己決定を

 そして、原発震災の責任追及・原因究明もあいまいなまま、その損害賠償の当事者・東電が被害者に「損害証明」を求め、会社存続のためには電気料の値上げを企むふてぶてしさだ。私たちも彼らを見習い、たくましくならなければならない。

 損賠は被害者の自己決定権を尊重させ、大震災・被災者の「人間らしく生きさせろ」という切実な要求にどう応えさせるかだ。被災者一人ひとりの生活と生活再建を支えるために復興財源はある。

 経済成長神話から脱皮し、一人ひとりを大事にする地域社会の再生、原発震災は発想の転換を求めている。拙速で国民に責任転嫁する復興増税に反対だ。





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