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2011年12月6日 |
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大阪ダブル選の結果 |
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橋下流が全国化の危険 |
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大阪府知事・大阪市長のダブル選挙は、知事・市長とも仕掛けた橋下徹氏率いる地域政党・大阪維新の会の候補が圧勝した。今から「大阪都」構想の具体化をめぐって、地元でのすり合わせ、そして地方自治法改正など国政を巻き込んだ攻防が激化する。
異常ずくめの選挙
台頭する中国やアジアのなか、このままでいいのか大阪、日本。そして、グローバル競争でニューヨークやロンドンにも勝てる大阪に。そのため無駄の多い府・市の二重行政を解消する。大阪市役所を解体し、権限と財源を新しくできる「都知事」に集中し、効果的に投資する。これが第一の争点だった。
また、橋下新市長は当選会見で、教育基本条例、職員基本条例について「反対論が出尽くした上での有権者の結論であり、議会は民意に従え」と、いったん否決された条例案を再提出し、否決なら議会解散もあるとした。
選挙結果に従わない教育委員は辞めて当然、都構想や条例に批判的な職員も辞めてもらうと言う。そして1万2000人の削減、大阪市営地下鉄・バスを民営化する。白か黒かを明確にし、選挙結果を民意としてトップダウンで断行する。このような「橋下流」の是非が第二の争点。何とも異常な選挙だった。
有効な対案もなく
反橋下陣営はなぜ敗北したか。第一は、都構想に対抗する改革の有効な対案がなかった。第二は、反橋下陣営は「橋下流」を「独裁」として争点化した。ファシズムと結びつけて「ハシズム」という言葉も生まれた。
だが、「出自」まで含む橋下氏への個人攻撃も、橋下陣営の「既得権益を守る政党・議員の野合」「維新対既成政党」との反撃の前に雲散霧消し、閉塞感の打破を求める庶民の気持ちをつかみ切れなかった。
とりわけ国民の期待を裏切り続けてきた民主党政権の体たらく、その下で続く中央の政争は政治不信とともに大きな既成政党不信となっている。
しかも絶大な橋下人気を前に、国政選挙への影響を恐れ、公明は自主投票、自民も民主も党としての支援は弱かった。関西財界も自主投票だった。出口調査によると自・民支持者の半数が橋本陣営に投票した。これで勝てるわけはない。
政局波乱の要因に
「都構想」の実現には二つのハードルがある。一つは大阪全体の総意になるかだ。大阪、堺両政令市の解体、分区、その他市町の合併再編、具体化するに従って財源・権限をめぐって自治体間や地域間の利害の対立が表面化してくるだろう。
今一つは、最終的に地方自治法など法律の抜本的な改正が必要なことだ。橋下氏は既成政党との協議に入るとするが、年度内に協力が得られなければ近畿一円で維新系候補50人超の国会議員候補を擁立するとしている。
橋下人気による維新の勢い、そして既成政党が機能停止的な状況のなかでは、これは一種の「恫喝」だ。
東日本大震災の復旧・復興、深刻な原発災害への対策、TPP問題、消費税率アップなどとともに「大阪都構想」は、政界再編成を含む政局の一つに浮上した。橋下流の全国化と中央化の危険性もある。
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