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2012. 5. 15
沖縄復帰40周年
基地のない沖縄への道を 



 5月15日、政府と沖縄県が共催し、沖縄の本土復帰40周年記念式典を開催、野田佳彦首相も参列する。だが政府は、県民の一貫した悲願である基地の縮小・撤去は進めず、自衛隊の配備増強だけは進めようとしている。野田首相には、「祝う」資格などない。



 普天間飛行場返還問題は、96年のSACO合意から16年、日米両政府が「交換条件」として辺野古新基地建設に固執しているため、完全に手詰まりだ。

 県民をはじめ、保守の知事も県内移設拒否の姿勢を貫き、米議会の「移設は非現実的」との批判から、米軍再編見直しに関する日米共同文書発表も遅れ、玉虫色の文言を追加。辺野古移設案は、もはや死に体に近い。


 不毛な対中国防衛論


 野田内閣は、「日米同盟は公共財」という外務・防衛官僚の言辞を繰り返す。その眼目は、西太平洋では対中国の軍事的抑止戦略。

 中国が、経済の急成長を背景に兵力を近代化、黄海や尖閣諸島、南シナ海に及ぶ権益主張を強めているのは事実だ。その一方、「市場経済」による深刻な格差拡大とエネルギー不足を抱え、共産党の独裁と腐敗への民衆の不満の高まりに直面。軍部は、米の軍事的圧力と中国の権益確保を理由に、国内で強大な発言力を持ってきた。

 だが、それへの軍事力での対抗は、不毛な冷戦の再現にしかならない。このような対立構造を抑制・緩和し、協力と相互利益の関係をもたらすことこそ、政治・外交の責務であり、軍拡競争の悪循環はその可能性さえ摘むことになる。


 基地の負担は増大へ


 米は対中戦略上、グアム移駐の海兵隊を減らし、ハワイや豪州へも移駐へと転換。グアム移駐経費は縮小するはずが、日本負担分の増額を要求し、野田内閣は当初額で受諾。

 米戦略に便乗する自衛隊は、「南西防衛戦略」を掲げ、沖縄各地に基地新設と部隊展開を急ぎ、フィリピンや北マリアナ諸島でも米軍と共同訓練で合意。

 北朝鮮の「ミサイル」を口実にした自衛隊のPAC3の大動員も、「日米同盟」と沖縄への自衛隊の配備拡大の政治宣伝だった。

 沖縄防衛局は昨年暮れ、新基地建設の手続きは進行中とのアリバイに、辺野古の環境影響評価書を県庁守衛室に投げ込んだ。県は579項目もの疑義を投げ返し、防衛省はまともな回答もできない。 与党の一部には「嘉手納移設」論まで甦っているが、嘉手納では原告2万2千人以上の爆音差止訴訟も進み、論外。また米軍は、欠陥機オスプレイの配備を準備中で、政府は普天間の補強にも協力。


 許すな!差別の構造


 野田内閣は、「説明し理解を求める」と繰り返す。これは原発の再稼働問題と同じ官僚の言葉だ。再稼働では「地元の同意」を条件にせざるをえなかったが、沖縄には「同意」の言葉さえない。

 沖縄の県民所得は全国最下位の水準だ。09年度に初めて高知県が最下位となったが、本土の低迷が原因で、基地による県民生活の阻害構造は変わらない。 復帰40年、講和60年、いや百年以上も続く沖縄県民への差別と犠牲の押し付け。その謝罪と政策の根本的転換なしに、野田首相は何を「祝う」のか。


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