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2016.12.27
2016年回顧
第3幕は、希望か暗黒か
 

 
 6月英国EU離脱選択。7月参院選では改憲派が、都知事選では小池が圧勝。トランプ・ショックで仰天。TPPとカジノ法案が強行採決でも、内閣支持率5割台で来春解散が浮上。韓国では大統領弾劾。世界と日本はどこへ向かうのか。
 80年代末、ソ連・東欧の崩壊で新自由主義制覇の第一幕が開いた。日本では総評・社会党ブロックが解体した。民営化、財政赤字削減・福祉切捨て、労働市場柔軟化、金融市場拡大などがグローバル資本主義下の世界で強行された。
 その結果、格差と貧困が拡大。米国に対する軍事的対抗勢力が崩れ、大国の軍事介入とテロの悪循環が始まった。だが搾取を謳歌し過剰となったグローバル資本は、投機とサブプライムローンに手を出し、リーマン・ショックで「百年に一度」の資本主義の危機をもたらした。
 民主勢力の挫折 第二幕は政治の変化に始まる明るい幕開けだった。2009年に米国でオバマ政権、日本で民主党政権が誕生した。ともに戦争と貧困・格差の増大への民衆の危惧を代表した。オバマ政権はネオコンによる「大義なき戦争」を反省して「核なき世界」を宣言し、オバマケアや金融資本規制を打ち出した。鳩山連立政権も福祉などで改革をめざそうとした。
 しかし、グローバル化した資本の規制は容易ではなかった。EUでは経済政策への反省が「緊縮政策」となり、犠牲はギリシャをはじめ南欧諸国が被った。またドイツなどに大量の南欧移民労働者と中東難民がなだれ込み混迷が広がった。こうして第二幕でも格差と貧困、地域紛争とテロは世界を蝕んでいった。
 日米の民主党政権や、共生を理念としたはずのEUへの失望から暗転し、第三幕に突入した。右の花道から最初に現れたのは安倍政権であり、真打として登場したのはトランプ次期米政権だ。EUではミニ・トランプ達が出番を待つ。
 共通点は、「国民の権益や雇用を守る」というデマで幻惑しつつ、資本の利潤のために平和も環境も人権も正義も投げ捨てることだ。第二幕で政治が規制しかけた利潤衝動を解放するのだ。それを直感した金融資本は株式市場に殺到した。21世紀型ファシズムはこうしてうごめき出すのかもしれない。


 希望託す役者は


 左の花道で第三幕の出番を待つ役者もいる。韓国の民衆、米のサンダース派、スペインの若者政党ポデモスなど。韓国大統領選は東北アジアの共生を切り開き、安倍の野望を阻むかもしれない。米の民主党内外にはウォール街とは一線を画す反トランプ勢力が生み出されるだろう。ポデモスは欧州排外主義に抗する左翼結集を促すだろう。 さて、日本では失望を希望に変える役者は見えない。暗黒の第三幕における安倍―橋下―小池の役回りを見定めて何をなすべきか。新年にしかと考えよう。

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