グローバル資本主義による社会的・経済的な犠牲者となった民衆の反乱が世界中で顕在化、溜まり続ける怒りのマグマが現状を変えたいと噴き出している。その力は平和と民主主義・生活の安定を構築する方向に向かわなければならない。
08年のリーマンショックで、資本主義が生き延びるために低所得者も含めて一層収奪する仕組みを作る、その醜さが露呈した。しかし、資本が国境を越え、自国の労働者や社会に関心を持たず、ひたすら自らの利益の拡大に走ることは、他方で膨大な貧困と不平等、戦争さえ辞さない事態を生む。
犠牲となり、不安と不満を持つ民衆の願いは代議制民主主義に反映しない。そのような不安と不満に依拠して敵が作られ、虚実織りまぜたポピュリズムによって民衆の怒りは作られた敵に向かう。
脱“思考停止”を
しかし、そうした差別と憎悪をまき散らす潮流が起こる背景こそ重要だ。貧困とは無縁と考えられていた中間層も下層化し、生活不安にさらされている。最大利益を求める資本が国境を越え、その利得は不安に陥れられている労働者に配分されることはない。
その表面的現象をとらえ、より低賃金で働く移民労働者や輸出大国に敵意が醸成される。そこでは理ではなく、情によって支配される。世界資本主義が大きく動揺している中、日本にあっては安倍政権が高支持率を維持し続けている。まさに世界の不思議である。安倍首相のトランプ詣でを見るまでもなく、日本政治は米政権に追従してこそ権力を維持できるという思考停止の状態にある。
オスプレイが連続して事故を起こしてもその危険性を認めず、沖縄県東村高江でオスプレイパッドの建設を強行した。辺野古新基地建設問題では最高裁が地方自治や沖縄の民意を無視して、政府にお墨付きを与えた。
労働の現場では非正規労働が横行し、とりわけ大企業で増加が著しい。今や、労働者の40%近くが非正規化し、年収200万円未満のワーキングプアは1100万人を超える。生活できる安定した雇用の前提が失われ、一方で高額所得者は納税を忌避する。これでは社会が成り立ち、存続できるはずがない。事実、社会保障は負担増とサービス削減の悪循環に陥っている。
マグマの可視化を
にもかかわらず、安倍内閣の高支持率という奇妙な安定がある。しかし、その安定の下で、一番不安を抱いているのは支配層であろう。
戦争法廃止や脱原発など、各課題で粘り強い闘いが続いている。マスコミが政権にコントロールされている今日、新社会党や幅広い共同運動の広がりを勤労諸階層の身近な場所でつくることが問われている。
この1年は、いつ解散・総選挙があってもおかしくない。その臨戦状況こそ、共に闘う仲間を作り出す好機である。
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