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2017.02.07
官製春闘£Eせよ
闘わなければ消滅の危機
 

 
 17春闘がスタートした。安倍晋三首相は私的諮問機関である「働き方改革実現会議」で、「昨年並みの水準を」と述べるなど、4度目の官製春闘に労働者を取り込もうとしている。労働者が奮起しなければ、春闘は消滅の危険さえある。


 安倍首相は、16年11月16日、「第3回働き方改革実現会議」で、17春闘は「少なくとも今年並みの水準の賃上げを期待したい」と4年連続で経済界に賃上げを要請した。
 政府と腹合わせ しかし、経団連の榊原定征会長は前日の記者会見で「年収ベースの賃金引上げを図り、定昇、ベア、一時金、手当など多様な選択肢から各社の状況に応じて決めたい」と述べた。「多様な選択肢」と言いながら、経営側は「年収ベース」でまとめる方向で政府と腹合わせをしていた。
 そのことはすぐに明らかになった。12月5日の定例会見で経団連側は、「労使交渉での経営側のスタンスについて、安倍政権と方向性を共有した」と明言したのである。さらに、「賃金改定は個別企業の労使の真摯な話し合いを通じて決まるもの。具体的な水準は、各社ごとの経営状況による。業績と生産性を踏まえた判断で決定される」と述べるなど、生産性向上を基本にした個別交渉重視で労働組合の横並び回答を否定した。
 東京・新橋駅前のSL広場で若いOLが街頭インタビューに応じていた。「賃金はどうして上がりますか?」との問いに、「安倍首相が上げてくれます。安倍さん頑張って」と答えていた。これも現実だ。第二次安倍内閣成立から「官製春闘」を許してきた。17春闘も官製春闘にはまり込むなら「産業報国会復活」も懸念される事態といえる。
 経団連は1 月17日、17春闘の経営側の指針となる「経営労働政策特別委員会報告」を発表した。特徴は、「働き方改革」に力点を置き、長時間労働の是正、若者や女性の活躍などを強調し、賃上げよりも働き方の改善努力に労働者の関心を移そうとしている。内部留保だけ増 過去3回の官製春闘にもふれ、「企業収益の高水準から3年連続して大幅な年収ベースの賃金引上げで所得を増加」と自画自賛する。しかし、11月の実質賃金はマイナス0・2%と家計は火の車だ。その一方で企業の儲けが際立つ。15年度の内部留保は377兆8689億円と、10年前の2倍、4年で96兆円も膨らませた。大企業は潤い、GDP(7月〜9月期)の国別ランキングは3位なのに1人当りだと20位(OECD加盟35カ国)で、個人消費の低迷が続くのも当然だ。  主要労組は、2%プラス定昇相当分(全労協・全労連は2万円以上)と昨年並みの要求額。経営側はベア否定・年収ベースの一時金決着を譲らない。「春闘は経営のパートナーと協議する場」と労働組合を手なずけようとするテーブルに着いてはいけない。



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