昨年末、高速増殖炉原型炉・もんじゅの廃炉が正式に決まった。だが、政府は今なお「核燃料サイクル」の夢を捨てていない。もんじゅ廃炉は部分的な手直しに過ぎないのだ。核燃サイクルの完全な幕引きこそ求められている。
高速中性子を使う
もんじゅは技術的にも、経済的にも、元々成り立つことが不可能だった原子炉だ。技術的には、大量のプルトニウムを使う。プルトニウムの扱いは非常に難しい。プルトニウムが核分裂するときに発生する中性子は非常に速い。
光の速さは1秒間に30万キロ、地球を7回半回る。その数パーセントの速さで、核分裂すると1秒間で地球の反対側に行ってしまう。その中性子を使ってさらにプルトニウムを核分裂させる。高速の中性子を使うから高速炉と言う。
中性子の速さを減らさないで熱を奪うためにナトリウムを使う。ナトリウムは非常に危険な物質だから、その扱いは非常に難しい。空気と触れれば、燃えてしまうし、水をかければ爆発する。しかも、苛性ソーダという非常に腐食性の強いものを出すから鉄をも溶かしてしまう。
そのようなプルトニウムとナトリウムを使って発電する。しかもウラン238をプルトニウム239にするというようなことができるはずがないと多くの人が指摘していた。
それでもやりたい人は「できる」と言って、国から多くの予算を取って、もんじゅを造ったが、フル稼働のメドはついに立たなかった。廃炉は当然のことだ。
信用する人いない
国は、その一方で高速炉をさらに続けるという。高速の中性子を使うにはナトリウムを使うしかない。危険性は変わらない。変わらないのに、まるでもんじゅとは別の、何かできそうなものだと思わせて国から予算を取ろうとしている。
さらに、日本ですぐにできないのであればフランスでやろうという。だが、フランスでも、フェニックスもスーパーフェニックスも廃炉が決定している。それなのに、さらにアストリッドを造るといっても、信用する人はいないだろう。
もんじゅ廃炉の決定は当然だ。そして、高速炉も止めるという決定をすべきだ。高速炉を止めれば当然、核燃料サイクルは不要になる。金食い虫で危険な六ヶ所村の再処理工場も止めるべきだ。
ぜひ裁判の傍聴を
もんじゅは、1968年に予備決定、70年に敦賀市、福井県の承認を得て白木地区の調査を開始している。反対する県民会議や敦賀市民の会が76年に結成された。それからでも40年。ようやく廃炉が決まった。二度と再び危険な原子炉を造らせないために闘い続ける決意だ。
第二次もんじゅ廃炉訴訟もその一環だ。次回の第6回口頭弁論は3月8日14時から東京地裁103号法廷で開かれる。多くの皆さんの傍聴を期待する。
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