先の日米首脳会談は日米同盟の既定路線を再確認して終わった。TPP離脱問題など貿易経済問題は「日米経済対話」に先送りすることで友好ムードを演出できたといえる。しかし、それは日本国民にプラスを意味しない。逆である。
トランプ氏がTPPでなくFTA(2国間自由貿易協定)を望むのは、譲歩を引き出すためだ。4月以降に開かれるであろう「日米経済対話」は、ポストTPPを巡ってガチンコの日米交渉になることは間違いない。 虎の威を借りて 安倍首相の狙いはTPPで中国を封じ込め、虎(米国)の威を借りて日本がア トランプ氏がTPPでなくFTA(2国間自由貿易協定)を望むのは、譲歩を引き出すためだ。4月以降に開かれるであろう「日米経済対話」は、ポストTPPを巡ってガチンコの日米交渉になることは間違いない。
虎の威を借りて
安倍首相の狙いはTPPで中国を封じ込め、虎(米国)の威を借りて日本がアることを目論む。
TPP交渉で日本は9000品目ある農産品の95%の自由化と米8万トンの買い入れ、米、牛肉、豚肉、ジャガイモ、乳製品など重要5品目について向こう10?15年以内に極めて低い国境措置(関税含む)にすることを約束した。
また、@健康保険制度を破壊する恐れのある混合診療の拡大A解雇の金銭解決制度の導入B民間水道への多国籍企業の参入C金融保険制度での差別扱いの禁止DISD条項容認E食品安全基準の引下げF医薬品特許有効期間8年G自動車輸出関税の延長H自動車部品現地調達拡大Iラチェット条項容認などに同意した。「日米経済対話」でトランプがこうした問題についてさらに切り込んでくることは明らかだ。
例えば、コメ20万トンの買い入れ追加とかBSE検査の全頭化廃止、遺伝子組み換え表示義務廃止、牛肉豚肉の関税撤廃などが考えられる。また、自動車の米への輸出規制や現地生産の拡大も求めてくるだろう。
さらにトランプ氏は日本が為替操作をして円安誘導で輸出を伸ばしているとし、円高ドル安状況を作り出すことを求めるといわれる。その際、アベノミクスの柱である財政金融政策をヤリ玉に上げ、是正を求めてくることも考えられる。
グローバル主義の安倍首相は、今日の情勢を防衛費の増大と憲法九条改悪に利用しトランプ氏を巻き込んで、中国封じ込めを図りながら新自由主義貿易を進めようとしている。
食料主権確立を
トランプ氏が多国籍企業を国内に呼び戻して失業を減らそうとしていることには期待する。だが、FTAによる農業、環境、医療、福祉の破壊には反対だ。弱肉強食・環境破壊の新自由主義貿易に反対し、すべての国が食料主権を確立し、安全安心の食料自給率の向上へ努力する条件と環境を作っていかねばならない。
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