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2017.03.07
「3・11」から6年
風化させない闘い広げよう
 

 
 「3・11」から6年になる。世界では脱原発の流れが広がり、日本も再稼働反対の世論は5割を超える。しかし安倍政権は再稼働と避難解除=帰還政策を強行する。稼働の既成事実化と事故の生き証人の抹殺を通じて「風化」を企む。
 東電福島第一原発の深刻な現状と、被害者の実態は、脱原発の原点だ。
 昨年末の震度5弱の地震では、福島に緊張が走った。車のガソリンを確かめ、近くの親族と連絡を取った家庭も少なくない。3号機核燃プールの自動冷却が停止した。保管核燃料2544体の冷却が止まったら爆発事故以上の放射能被害が発生することは、皆知っている。
 貯水タンクへの汚染水送水も一時停止し、2〜4号機では水漏れも生じたという。6年前は遠く離れた飯舘村が高濃度の放射能に襲われた。風向きしだいで大量の避難者が移り住む方面が襲われるかもしれないのだ。
 差別も加わって 原発は停止中でも危ない。福島第一の場合はもっと危ない。2号機の炉内に最近やっとロボットが入ったが、2分で人が死ぬ高線量ということが分かっただけ。2度目の調査では高線量のために十数億円かけたロボットが故障。予備がなく調査は中断した。
 政府の内部にはチェルノブイリのように石棺で覆うしかないという案があるが、帰還政策やオリンピックに目障りなのか採用されない。
 だが、国は双葉町や浪江町の一部帰還困難区域を除き避難指定を解除し帰還を促進する。チェルノブイリ事故では帰還するかどうか選択権を与え、どちらにも賠償しているが、日本政府は「自主」避難者の住宅補償は今年3月、わずかな精神的慰謝料は来年3月で打ち切る。18年には一部の地域を除く全避難者(10万人以上と推定)の補償を打ち切る計画だ。
 こうした兵糧攻めで「帰還」を強いるのは人のすることではない。ただでさえ避難者は差別といじめに苦しんでいる。「自分は生きようと思う」とけなげに頑張った中学生の件への横浜市教委の歯切れの悪い対応に象徴されるように、続発するいじめは大人がつくりだしている。


 帰還したくても


 「避難先で出身地を言うと変な目で見られるので隠している」「家を建てたら賠償御殿と落書きされて引っ越した」「いたずらされるので車のナンバーを変えた」など多くのストレスを抱える。故郷に帰りたいが、年間被曝がレントゲン室(5mSv以下)以上の所に帰れないのだ。
 昨年7月に避難解除された南相馬では帰還は13・7%。3月末から4月初めにかけ解除予定の地域の帰還希望者は、浪江18%、飯舘33%などわずか。「帰還」推進は更なる苦境に追い込むものだ。
 3・11から6年。避難者・被害者に寄り添い、各種の損害賠償裁判や補償打切り反対の運動とともに再稼働反対・脱原発の声を広げよう。


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