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2017.04.11
天皇の退位問題
特例法に封じ込めてはならない
 

 
 安倍政権は天皇退位問題について、「国民の総意」を演出し、「一代限りの退位特例法」に封じ込める方針だ。しかし私たちは、自由意志による退位の保障、明治憲法を色濃く反映する皇室典範の見直しを求め、退位特例法に反対する。
 衆参正副議長は3月17日、「天皇退位等についてのとりまとめ」を安倍首相に伝達した。「退位」意向を示した昨年8月の天皇ビデオ・メッセージ、「一代限りの特例法制定」を強くにじませた今年1月の政府有識者会議の論点整理を経て、衆参正副議長が全政党・会派の意見を聞く「立法府の総意」の形をとった。
 「まとめ」は、@一代限りの退位特例法とすること、すなわち退位はあくまで例外的措置である、A皇室典範付則に特例法と皇室典範の関係を示す規定を置いて憲法2条違反との疑義を払拭する、などが柱だ。 安倍政権の目論見 安倍政権は、天皇の退位意向に関し、@一代限りの退位に封じ込め終身在位の原則は譲らない、A退位問題が女系天皇論など皇室典範全体へ波及させない、B「国民の総意」を演出、に執着してきた。
 一連の経緯は、安倍政権の目論見どおりに進んでいることを示している。
 一代限り法に反対 私たちは、天皇の終身在位制と一代限りの特例法制定に反対する。
 政府側の憲法解釈でも、天皇が国民の一人であること、憲法が保障する基本的人権の保障が天皇にも及ぶことを認めている。だが今の皇室典範は、天皇に就いた以上は死亡するまで退位を認めない。これは、意思に反しても死亡するまで天皇の地位に縛るもので、基本的人権を侵している。自由意思に基づく退位が保障されるべきだ。  政府側の憲法解釈は象徴の地位からして基本的人権も自ずと制限されるとするが、制限は政治的発言などごく限定されるべきである。
 皇室典範の検証を 私たちは、皇室典範全体の検証・見直しを求める。
 今の皇室典範は、男系皇位継承、終身天皇制のごとく明治憲法での旧皇室典範を色濃く残す。退位問題が生じる理由はここにあり、同質の問題はこれからも生起する。今次の機会を捉え現皇室典範全体の検証・見直しへ進むべきだ。視点は当然に、日本国憲法の主権在民、基本的人権保障にある。
 「総意」演出に危惧 私たちは、「国民の総意」の演出を強く危惧する。 安倍首相は「政争の具にしてはならない」と国会との事前合意形成に執着、衆参議長は「立法府の総意」の根回しに腐心した。日経新聞は今年一月、「天皇退位、『衆参合同』立法は改憲の試金石」のタイトルで「憲法改正の発議に向け、国会の新たな慣行を生み出すかもしれない」と報じていた。
 「国民の総意」演出は関連法案づくりでも続く。護憲の政治勢力は流れに身を任せてはならない。

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