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2017.06.20
子ども保険
保育や教育はリスクなのか!
 

 
 自民党の若手国会議員が、保育や幼児教育を無償にするため「子ども保険」の創設を提唱し、安倍政権は「骨太の方針」に検討を盛り込んだ。幼児教育や保育は行政サービスの一環として税負担で行うべきで、「保険」制度は間違いだ。


 子ども保険を提唱しているのは、「2020年以降の経済財政構想小委員会」(橘慶一郎委員長)で、3月29日に小泉進次郎委員長代行が記者会見して「提言」を発表した。


 人口減少と高齢化


 「小委員会」は、「社会保障と税の一体改革」の改革工程表は2020年までしか策定されていないとして、その先を見据えた人口減少や高齢化に対応する社会像や、年金や医療介護などの社会保障制度改革の提言を行ってきた。「子ども保険」はその一環として提言したものだ。
 提言は、子ども保険は就学前のゼロ歳から5歳までの幼児教育と保育を実質的に無償化するための財源として、厚生年金の保険料に労使0・1%ずつ、国民年金の場合に1人当たり月160円を上乗せし、年間3400億円を確保する。
 当面、児童手当に月額5000円加算。将来的には、保険料を厚生年金で労使0・5%ずつ、国民年金で830円とし、1・7兆円の財源を確保し、児童手当に月額2万5000円加算する。所得制限は設けないというものだ。
 現行の児童手当は、月額で0歳から3歳未満が1万5000円、3歳から小学校終了前が第1子と第2子が1万円・第3子が1万5000円、中学生が1万円、所得制限世帯(約960万円)で5000円である。


 内部留保ではなく


 「子ども保険」の提言通りに実施されると、将来、就学前の子どもには月4万円の児童手当が支給されることになる。児童手当の引上げを、しかも所得制限なしで実施することはいい。しかし、なぜ就学前の子どもだけが対象なのか。その上、なぜ社会保険なのかが問題である。
 保険はリスクに備えるものだ。保育や幼児教育はリスクではなく、保険の対象にはならない。しかも、年金保険料は今年秋から固定され、今後も健康保険料と介護保険料は増額が予想される。子ども保険料も入ると、社会保険料の納付額はバカにならない。
 創設すれば、塩崎恭久厚労相ではないが、「小さく産んで大きく育てる」可能性が高いのである。
 経団連の隅修三人口問題委員長は、「出産、育児、保育、義務教育はナショナルミニマムとしてほとんど無償でよいと思う」「国民全員で支えて行こうとすると税財源に行き着くのではないか」と語っているが、良識だ。
 日本のGDPはこの20年500兆円前後で横ばいだが、企業の内部留保は17年3月末で400兆円超と増える一方だ。資本は将来の労働者の育成のために、内部留保ではなく、税として負担する義務がある。




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