核兵器禁止条約が国連で採択されたのに、被爆国・日本は条約に反対し、参加を拒否した。条約は「核抑止力論」を否定する画期的なものだ。また、朝鮮半島の緊張の平和的解決にも良い環境となる。安倍内閣の姿勢は世界の笑いものだ。
日本人として恥ずかしい。核兵器禁止条約に反対を表明し、制定交渉会合への参加を拒否したのである。国連加盟193カ国中124カ国が参加し、NATO加盟国のオランダが反対、シンガポールが棄権した以外はすべて賛成した。
欠席したのは米英仏露中の核保有国と北朝鮮、韓国などだ。米英仏は「今後、署名も批准もしない」と共同声明を出し、日本も同調した。
前文にヒバクシャ 日本の被爆者の長年の訴えが全世界の人々の心を動かし、条約前文に「ヒバクシャ」の文言が入った上で採択されたのに、そして唯一の戦争被爆国であるにもかかわらず、米国の核の傘の下で米国に追随する日本政府の姿勢は度し難いと言うほかない。
「核の威嚇」を禁止
外務省幹部は「北がこんな状況なのに、核保有国の存在を認めない条約には絶対反対」と息巻いたという。とりわけ日本政府の神経に触ったのは、条約が、「核兵器の使用、開発、実験、保有、移転」に加え「核の使用をちらつかせる脅し=威嚇」も禁止したことらしい。
条約は未批准国=日本やNATO諸国など「核の傘」の下にある国々に効力はない。しかし条約は、国際的な規範となるのであって、「核抑止力」自体が正当化できなくなるのだ。
新聞報道によれば、ある中南米の外交官が「南米やアフリカ諸国への圧力は、ドアをドンドン叩かれている感じ」と語ったくらい、米や英仏からの圧力はすさまじかったという。核保有国をしばる条約なのだ。
安倍政権続く限り
朝鮮半島の核を巡る情勢は緊迫している。「北がこんな状況」だからこそ、日本は率先して条約を批准し、「北」に対しても核開発停止を求める道義的資格を保持すべきある。韓国は諸々の事情ですぐに批准とはいかないだろう。それでも懸命にトランプの暴走を抑えながら南北対話へ努力している。
それに比べ、率先して批准すべき立場にありながら、米国に従った日本政府はなんと愚かだろう。
核弾頭の保有は米国6800発に対し「北」は10〜20発とされる。核保有国の核実験は2000回を超える。核超大国が核の使用をちらつかせて小国を脅し、小国が核開発に励む悪循環と、核抑止力の神話を断つ好機が禁止条約の採択だ。
日本の原発推進政策は、核兵器の大量製造能力=「核抑止力」誇示のためと言われる。安倍政権が続く限り、朝鮮半島の非核化はますます遠ざかる一方だ。我々はそのような安倍政権を倒し、核兵器禁止条約を批准する政府を実現するために闘い続ける。
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