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2017.08.22
過労死を助長
「労基法」の改悪を許すな
 

 
 連合は、専門職で年収の高い労働者を労働時間の規制から外す「高度プロフェッショナル制度」について政府に修正を申し入れ、受け入れられれば容認に転じることを明らかにしたが、「政労使合意」は見送ることになった。


 8時間労働が原則


 安倍内閣は、今秋開かれる臨時国会に労基法改「正」案を出す方針のようだ。
 周知のように、「高度プロフェッショナル制度」を含む労働基準法改定案は、そもそも2015年4月に国会に提出されたものだが、「定額働かせ放題法」「残業代ゼロ法」「過労死促進法」と厳しく批判され、これまで一度も審議されなかった。
 昨年閣議決定された労働関連法の改定案「高度プロフェッショナル制度」は、年収1075万円以上の特定の高度専門業務に従事する従業員を対象に労働時間規制を外した働き方を認めるものであり、これまでのように労働時間で賃金が支払われるのでなく、「成果で評価して賃金を決定する」ものである。
 塩崎恭久厚労相(当時)は昨年、閣議後の記者会見で「『裁量労働制』の適用範囲の見直しや『高度プロフェッショナル制度』の創設は、経済のグローバル化の進展の中でも日本の労働生産性を向上させ、働く人々の意欲や創造性を一層発揮させる。これらの施策は、日本の働き方改革の重要な柱」と述べた。
 反対に私たちは、この制度は、労働時間の制約がないため働き過ぎに陥る懸念が大きい、対象の拡大で働き過ぎの労働者が増える恐れがあると考え、「長時間労働を助長する、残業代ゼロ法案」と強く反対してきた。
 労政審で経営側が「裁量労働制」についても、「柔軟で効率的な働き方ができる」とするのに対し、連合は「残業代がなくなる上、長時間労働や過労死を招きかねない」と強く反対してきた。
 現在の労基法では、1日8時間・1週間で40時間を超える労働は原則禁止されている。しかし、残業代ゼロ法案が通った場合、この労働時間規制が撤廃され、究極的には24時間勤務も可能となる。


 働き過ぎは終わり


 連合が、「高度プロフェッショナル制度」を受け入れるために政府に求めた修正は、104日の休日を義務づけた上で、労働時間の上限設定、勤務間インターバル制度、そして2週連続の休暇と定期健診・臨時健診の4つのいずれかの措置を講じるというものだ。しかし、このような労使協定時間の上限規制は、長時間労働の是正に資するものではなく、むしろ有害でさえある。
 長時間労働は、労働者だけでなく、その家族や地域を、そして社会全体を疲弊させる。すべての人々の生活に大きな影響を及ぼす社会問題なのである。労働時間に対する法規制がこのような社会的・公共的性格をもつことを私たちは十分に理解し、認識すべきである。



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