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2017.09.26
生活保護の審議
憲法25条の水準守る勧告を
  

 
 生活保護制度について、社会保障審議会の「生活保護基準部会」と「生活困窮者自立支援及び生活保護部会」で検討されている。安倍政権は生活保護基準を引き下げており、13年の法改「正」で制度改悪し、今回も危険な兆候がある。


 生活保護基準部会では、来年4月からの保護基準について検討している。委員は8人であり、座長が駒村康平慶大教授、他に阿部彩首都大教授、岩田正美日本女子大教授、岡部卓首都大教授、宮本みち子放送大学副学長ら貧困問題研究の第一人者がそろっている。
 5年ごとに検討されるが、前回は第二次安倍政権が誕生し、自民党による生活保護バッシングの中で検討結果は無視され、保護基準が引き下げられた。生活扶助基準が13年8月から15年4月までの3回に分けて平均7・3%の引下げ、15年7月からの住宅扶助の見直し、15年11月からの冬季加算の見直しである。
 部会には、憲法25条の生存権保障の理念に立ち、「健康で文化的な最低限度の生活」が維持できる水準(ナショナルミニマム)の勧告を望む。


 首長が改悪へ発言


 生活困窮者自立支援及び生活保護部会は5月にスタートした。15年度に始まった生活困窮者自立支援制度は、生活保護に至る前の段階で支援するもので、経済給付としては住宅費給付のみだ。
 3年間の検証を行うということで、今回は生活保護部会と合同になっている。委員は21名で、部会長の宮本太郎中大教授の他、自治体、医師会、福祉関係者、労働組合の代表が入っている。
 この部会で、とんでもない「意見」が出ている。
 7 月27日の部会で、指定都市市長会から出ている福田紀彦川崎市長は「医療扶助への一部負担導入」を求める提言を国に提出したと報告、「頻回受診ばかりでなく、重複受診対策、後発医薬品の使用率向上にも効果が期待できる」と発言した。
 さすがに、日本医師会、連合などの委員から反対意見が出された。「最低限度の生活を保障した上での医療費の一部自己負担の導入」とは言っているが、要は生活費の中から一度支払わせるということであり、最低限度の生活を奪うことになる。
 指定都市市長会は生活保護費削減を目指して以前から制度改悪の要求を出しており、自治体の首長として極めて問題である。 自殺率は2倍にも 医療扶助費は、15年度で1兆7800億円だが、入院費が5割を超え、そのうち「精神・行動の障害」が35%に達している。
 「頻回受診や重複受診」と制度利用者への不信感を煽るのではなく、「生活保護受給者の自殺率は、全国の自殺率の2倍」(11年厚労省発表)、「健診受診率は約10%」という現実に向き合わなければならない。



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