希望の党によって民進党が崩壊させられる中で、私たちは投票日へ民主主義の防衛に共同で闘う「立憲」野党の勝利に全力を挙げている。総選挙後に想定される事態への覚悟を市民と共有し、護憲戦線の再構築への足場をつくりだそう。
希望の党がすべてを混乱させ野党共闘を壊し、「希望」自体も公示寸前まで小池都知事に振り回されて混乱した。小池氏の不出馬や、民進党員への「排除」と、自民党内勢力との連携示唆で、かなり失速するだろう。しかし、野党第一党を破壊し、政治モラルを麻痺させる役割は確実に果たしている。
「希望」の政策は、改憲と安全保障、規制緩和など自民党と同じだ。「緑の狸」と言われる小池氏自身は、冷酷で計算高いだけでステーツマンではない。問題は、なぜこんな矮小な人物が、少なくとも野党第一党を壊すだけの影響力を発揮したかだ。背景に格差と貧困、将来への不安、政治と議会不信から生まれるマグマのような憤まんがある。
立憲民主が旗揚げ
希望が掲げる「既得権打破」「変える」、「既成権力との対決」というイメージが、民心をかき乱す。ちょうどトランプが少数でも熱狂的な支持者を煽り立てるように。刺激的な「劇場」型政治の連続で、およそ理性的な政治判断はできない風潮がつくられ、「踏み絵」による民進党員の変節は野党不信を増幅させる。
同時に、ベーシックインカム、企業の内部留保への課税など、左翼が掲げるべき政策で困窮への不満に応えようとするあたりは、ヒトラー張りだ。
そういう中で、「立憲民主党」が旗揚げし、立憲野党の共闘がかなりの選挙区で復活し、共産党と社民党の共同ができるなど、前進の芽は生まれた。新社会党は兵庫9区のきくち憲之候補必勝と、社民党をはじめ立憲野党候補の勝利に総力あげている。
しかし、結果は、民進党が崩壊した以上楽観できない。希望の失速もあり、自公は下げ止まるとみられる。そして一定数を確保した希望と維新などが自民党を分断し、参院民進党が分解し次の政党再編が与野党を超えて始まる。そして安倍の進退に関わらず、改憲勢力が今以上に増大する。
朝鮮半島の緊張をあえて加速させる方向に踏み出すだろう。そうなれば、憲法の危機がさらに迫るのは間違いない。
新たな受け皿こそ
2年後は統一自治体選と参院選がある。これに向けて護憲・リベラルの共同をさらに前進させねばならない。その際、新自由主義への対抗戦略をもち、格差と貧困に苦しむ民衆の怒りを右翼ポピュリズムから取り戻す受け皿となる新たな政治勢力が不可欠だ。
政党の組み合わせだけでなく、明確な政策的メッセージの発信がなければならない。今回のような失態を繰り返したら待ち受けるのはファシズムであろう。
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