今回の総選挙では、「希望」が民進党を分解し野党共闘を後退させて改憲勢力を戦後最大に膨張させた。立憲民主が躍進したとは言え、自公と希望維新を合わせ8割超の議席だ。迫る憲法決戦に勝利するため、総選挙を総括し準備しよう。
安倍自民党は初めて自衛隊の明記や緊急事態条項などを公約し、朝鮮への圧力強化を政策の冒頭に置いて議席を増やした。しかも失速したとは言え、希望と維新という右翼補完勢力が増えた。私たちは覚悟を固めなければならない。
安倍首相は特別国会後の国会で、自民党の9条改憲案を示すらしい。憲法審査会の議論を加速させるだろう。2020年改憲をめざし、国民投票は次の解散総選挙ないし19年参院選とセットの可能性もある。今年末とささやかれる朝鮮半島の緊張激化も利用するだろう。
圧倒的な右翼的国会を忖度し、警察も行政も司法も権力の末端の動きを強め、共謀罪も発動される恐れがある。息詰まる社会にさせず、市民が自由に行動できる輪を地域から広げ、憲法決戦に勝利する態勢を作ろう。
野党「再々編」も
主体はどうか。新社会党は兵庫9区の菊地憲之さんを先頭に野党共闘で市民と全力で闘った。立憲民主党が立ち上がり、共産党などの協力もあって躍進したのは光明だ。新潟はじめ野党共闘の無所属候補も健闘した。
しかし、立憲民主党に共産党と社民党の比例票が流れ、両党は後退。9条改憲と消費税増税、原発再稼働、辺野古新基地建設などに対抗する勢力総体が拡大したわけではない。
改憲と参院選をにらみ、早くも野党の「再々編」が公言され、メディアは民進党再結集を煽る。しかし改憲と安保政策の踏み絵を拒んだ姿に多くの市民が共鳴し、枝野代表が明言したように立憲民主党は「市民に背中を押されて」旗揚げできた。新しい党としてこの市民の期待に応えねばならない。
既成政治への不信
今次総選挙で反省すべきは、なぜ小池某に民進党が揺さぶられたのか、だ。「希望」に大量の候補者と選挙資金を献上せず野党共闘を堅持していれば、改憲勢力の圧勝は防げた。
民進党の議員は、都知事選・都議選で起きた小池現象に理性を麻痺させられたと言う他ない。そして小池現象を生んだのは、格差と貧困に応えない野党も含めた既成政治への不信だ。「反権力」「既得権打破」の小池ポピュリズムはこれに応えるかに見えたのだ。
世論調査では、将来不安の強い18?29歳の政党支持は自民党が5割近くを占め、希望1割に対し、立憲は5%。9条改憲には5割以上が賛成だ。
資本の利潤を奪い返す反新自由主義政策で彼らの不安に応えてこそ、憲法決戦にも勝利できる。19年参院選・自治体選も視野に、立憲野党とともにそういう政治勢力を地域から作り出していこう。
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