政府・防衛省は4月21日、辺野古新基地建設で沖縄県に軟弱地盤改良工事に伴う「設計概要変更」を申請した。新型コロナの「緊急事態宣言」下でも、人命より米軍基地が優先というのか。
大浦湾側に広がる軟弱地盤は、2016年までのボーリング調査で判明していた。それをひた隠し、土砂投入を強行してきた政府・防衛省に、「変更申請」を行う資格はない。政府が軟弱地盤の存在を認めたのは、昨年1月末。同時に地盤改良で基地建設は可能としたが、工期も総工費も示せなかった。
実体は「新規」工事
今回の「変更申請」では、工期が今後12年に、総工費は当初の2・7倍の9300億円(沖縄県は2兆5500億円と試算)に膨らんだ。埋立て部分の工法も全面的に見直し、「変更申請」の実態は新規工事に近い。環境影響評価からのやり直しは、当然だ。
軟弱地盤改良には、新たに大量の海砂が必要になる。埋立て土砂は約7割を西日本各地から搬入する計画だったが、海砂・土砂の双方を沖縄県内中心に調達とした。沖縄の海と山の破壊は想像を絶するものとなる。
工期短縮のため外周護岸を締め切る前から、海面7bまでの先行埋立て実施も計画されている。汚濁は大浦湾全体への拡散が想定される。
警備に工費の2割
また、活断層の存在が指摘され、大量の危険物質を扱う軍事施設にもかかわらず、中小規模の耐震設計を採用していることや、設計供用期間について「一般的構造物」が対象の50年を想定していることも大きな問題だ。
2月には、B27地点の地質データ隠蔽も発覚した。ケーソン護岸基部にあたる重要地点にもかかわらず、再調査は拒否したままだ。警備費が総工費の約2割を占めるという事実も、民意に反して強行されている辺野古新基地建設の異常さを象徴している。
普天間基地の返還合意から、すでに24年が経過した。供用までには、最短でさらに12年を要する。「辺野古は唯一の解決策」の破綻は誰の目にも明らかだ。
いま、政府・防衛省がなすべきことは「変更申請」などではない。沖縄県と国会に対し現状を隠さず報告し、辺野古新基地建設を断念することである。
人間の安全保障を
コロナ感染症の世界的流行は、人間の安全保障がいかにあるべきかを根本から問い返している。辺野古新基地、イージス・アショア、F35などの防衛予算は、コロナ対策と生活支援に回すべきだ。