新型コロナ規制の「出口」議論が活発だが、安倍政権のそれは危うい。科学的な見通しもなく、命と経済を天秤にかけるような姿勢がみえる。検査の抜本的強化ぬきの「出口」論は要注意だ。
欧州の「再開」は
欧州などの経済活動再開を勘違いしてはいけない。欧州は厳格なロックダウンから段階的に、東京のレベル程度まで緩めようというだけ。
EUの「再開3条件」はこうだ。 @感染拡大の鈍化が再生産数1未満になること。超えれば規制を再強化APCR検査能力の大規模な拡大。例えば独は1日7万件を14万件に(人口比で日本の14倍)B第二波に備え十分な医療体制の拡充(人口10万人当たりのICUは独29、日本7)。大量検査を経て陽性者を隔離し陰性者で経済活動再開にあたる。
つまり終息などでなく、ワクチン開発と集団免疫形成までは2年程度は覚悟している。大企業やEU主流の緊縮財政派は早期の経済活動再開をしたい。トランプ米大統領は右翼の「解除」デモを扇動する。国が生活保障することは、新自由主義に反するのだ。
だが、欧米為政者は人民の権利意識を無視できない。「命を守るため経済活動の停止に協力するが、生きる権利は国が保障せよ」の声を無視したらゼネストだ。
補償が自粛を促す
だから米国も含めコロナ対策財政出動の大部分が、日本の補正予算とは違って人民への直接給付と医療体制充実に充てられたのだ。罰金などよりも、補償が「自粛」を促したのだ。
日本はどうか。遅くとも秋には感染拡大の二波というのは医療関係者の共通見解だ。国はPCR検査を抑制してきたから「再生産数」も根拠を示せず、14日の「専門家」の見解にも入れられなかった。
専門家会議の尾身氏が国会で「感染者数は、確認の10倍か、15倍か、20倍か誰も分らない」と告白するのに、安倍首相は「終息に向かっている」と口走る。
一方、様々な業種で自ら命を絶つ報道が続く。10万円再支給を求める声は無視し、第二次補正もケチるために「終息」ムードを広げる。
PCR検査を韓国並みに行って実態把握し、第二次補正で給付と補償を拡充、医療・介護・保育などを補強して秋以降に備えるべきだ。
「誤解」発言の加藤厚労相は即刻解任だ。西村大阪府知事の「独自基準」は根拠薄弱。「コロナ緊急対策に8千億」という小池都知事も、追加費用数千億円のオリンピックの中止を早く提案すべきだ。